スキマ時間で声を変える! 毎日できるボイストレーニング 第15回

2026年5月号 <スキマ時間で声を変える! 毎日できるボイストレーニング>

秋竹朋子

コラム

第15回

お怒りMAXの顧客を鎮める声と話し方

 最近、某メーカーのお客様相談室で、お怒りのお客様を“確実にクールダウンさせる”ための声と話し方の研修をしています。この内容が実務的で再現性のあるものなので、紹介したいと思います。

 クレームの根本は「期待の裏切りによる感情の痛み」。これを前提にすると対応も変わってきます。

 クレーム対応には、3つの基本があります。

① 感情を認めること
「お気持ちはもっともでございます」

② 話を要約して理解を示すこと
「お客様のお困りの点は~~ですね」

③ 今後の安心を提示すること
「最も早く解決できる方法をご提案します」

 この3つで多くのクレームはクールダウンします。これを踏まえ、6つの実践ステップを紹介します。

【ステップ1】
 落ち着いた声で受け取り、相手の怒りの温度を下げることです。相手が感情的な場合、担当者が速く話すとさらにヒートアップします。声はワントーン低くし、会話速度は普段の7割くらいに落とします。文末には必ず「間」を0.5秒ほど入れます。ゆっくり落ち着いて話すことで、自然と相手のペースも落ち着いていきます。

【ステップ2】
 怒りの「燃料」を抜き取る“共感の2連打”です。怒りの原因は、「理解してもらえない」「認めてもらえない」の2つです。そのため最初に共感を2回重ねます。

1回目「それは大変ご不便でしたよね」
2回目「おっしゃるお気持ち、よく分かります」

 説明前に入れることで怒りのピークが下がります。

【ステップ3】
 “要約返し”で感情の暴走を止めます。怒っている人ほど、「自分の話が理解された」と感じると安心します。「つまり〇〇ということで間違いございませんか?」と要約することで、自分の話が整理されたと感じ、落ち着きやすくなります。

【ステップ4】
 怒っている時に「原因は●●です」と言われると火がつきます。代わりに、“次にどうするか”を明確に提示します。「ではこの後、▲▲という形で、最も早く確実に対応できる方法をご案内させていただきます」と提案することで安心を与えます。

【ステップ5】
 最後に必ず“主導権を渡す”ことです。怒りの根底には、「コントロールを奪われた」という感覚があります。怒りのピークが下がったら、選択肢を渡すとさらに冷静になります。「Aの対応とBの対応がございますが、どちらがよろしいでしょうか?」などと選択肢を渡すことで、心理的主導権が戻ります。

【ステップ6】
 終話前の“安心定着ワード”です。「本日はお時間をいただき、ありがとうございました。ご不安な点があればいつでもご連絡ください。しっかりサポートいたします」と、最後の30秒で印象は大きく変わります。

 この6ステップの流れを守ると、怒りの強いお客様でもクールダウンしていきます。ぜひ実務で実践していただければと思います。

秋竹朋子
PROFILE
秋竹朋子
ビジネスボイストレーニングスクール「ビジヴォ」代表。「声」「話し方」に問題を抱えるビジネスパーソンを4万人指導。400社の企業研修を行う。音楽家ならではの聴力と技術を駆使した、「超絶対音感」によるボイストレーニングが話題を呼び、TVなど多数出演。著書に、『年収の9割は声で決まる! 「できる人」だけが知っている声の出し方』『話し方トレーニング』『「話し方」に自信がもてる 1分間声トレ』

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会員限定2026年04月20日 00時00分 公開

2026年04月20日 00時00分 更新

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