コラム
第124回
新婚当時、飲み過ぎて帰宅できそうにない時は、深呼吸を3回してからカミさんに電話して「今日は仕事で徹夜なので帰れない」と言っていた、わたちゃんです。
最近は、子どもや高齢者の安全管理のために『みまもりGPS』が注目されています。小型のデバイスを持たせることで、リアルタイムで位置情報を確認できます。迷子や事故を未然に防ぎ、家族が安心して日常を過ごせるというメリットがある一方、監視社会という側面もあり、どこまで許容すべきかの議論が続いています。
企業もこの技術を活用しています。例えば、物流業界ではトラックやドライバーの動きをGPSで管理し、配送の最適化を図ることが一般的になりました。また、企業によっては社員の業務管理のためにGPSを導入するケースもあります。とくにリモートワークの普及により、「本当に勤務しているのか?」を把握したいという企業のニーズが高まりつつあります。
しかし、便利な半面、プライバシーの問題も指摘されています。子どもの安全を守るためにGPSを利用するのは合理的ですが、思春期の子どもが「親にずっと監視されている」と感じることもあります。また、企業が社員にGPSを義務付けた場合、過剰な監視と捉えられ、労働環境の悪化につながる可能性もあります。
技術の進化とともに、どこまで監視を許容するかの線引きが問われる時代になりました。欧州ではGDPR(一般データ保護規則)により、個人データの取り扱いが厳しく規制されています。日本でも、企業が個人の位置情報を収集する際には慎重な対応が求められます。
一方で、GPS技術の進歩は、見守りだけでなくマーケティングの世界にも影響を与えています。位置情報を活用したターゲティング広告は、消費者の動きを分析し、最適なタイミングで広告を配信する手法として普及しています。例えば、ある店舗の近くを通るとクーポンが配信される仕組みなどは、消費者にとって便利であると同時に、企業にとっても効果的な販促手段です。また、観光業界では、GPSを活用したデジタルガイドが登場し、観光地周辺で関連情報やおすすめスポットを案内することで、旅行者の利便性を高めています。さらに、カーシェアリング業界では、利用者の移動データをもとに需要予測を行い、効率的な車両配置を実現するなど、多岐にわたる分野で活用が進んでいます。このように、みまもりGPSは単なる安全管理にとどまらず、ビジネスやマーケティングの分野にも広く影響を与えています。問題は、その便利さがどこまで許容されるかです。技術の発展は止められませんが、その使い方には社会的な合意とルールが求められます。
ということで、あの頃はGPS追跡アプリもなく、自分にとっては平和な日々を過ごせたことに感謝ですが、おそらくカミさんは気づいていたんだろうなとか思ったりしています。勇気を出して聞いてみようかな。
2025年05月20日 00時00分 公開
2025年05月20日 00時00分 更新