コールセンター
現在も、コールセンター誘致に積極的な自治体は多い。その一方で、一大集積地である札幌市などが誘致を取り止めるなど、新たな動きも見られる。かつて、「助成金の多寡」が大きなポイントだった地方進出も、それだけでは立ち行かなくなる現実も見えてきた。数社の事例をベースに、現在の地方拠点のあり方と進出先選定についてポイントをまとめる。
地方自治体がコールセンターを積極的に誘致開始してから約20年が経過している。主な動機は、もともと安価な人件費を求める企業と、「即効性のある、とくに女性の雇用確保」を期待する自治体の思惑が一致したことが大きかったが、東日本大震災をはじめとした大規模災害や新型コロナ禍に見舞われたことで、近年はBCP(Business Continuity Planning)が地方進出の最大の理由となっている。
10年前と現在の拠点数の多い地域を比較したのが図だ。北海道、沖縄県、福岡県の3自治体がトップ3を占めていることに変わりはない。しかし、4位以下には新しい地域がランクインしており、進出先の動向に変化が生じている。
拠点の規模にも変化が起きているようだ。かつては3ケタ台の大規模センターが目立ったが、ここ数年では、100席以下の拠点の進出が多いようだ。人件費の大幅削減よりも、BCPを念頭に入れて小規模オフィスを分散する動きが活発化している。
コロナ禍では、感染防止も相まって、「働き手が通いやすいエリア」に拠点を設ける動きもあった。ジャパネットコミュニケーションズは、福岡市内だけで5拠点に分散。主婦/学生など、雇用対象に合わせたエリア設定と設備を整えている。
難しいのは、労働集約がビジネスモデルにあたるBPOベンダーだ。小規模センターのサテライト型では、業務を細かく切り出す設計が必要と、ロケーションが離れれば関連業務との連携の難易度が上がる。「そのことに難色を示すクライアント企業も多く、案件が取りにくい」という企業も出てきている。
2024年05月20日 00時00分 公開
2024年05月20日 00時00分 更新