三井住友信託銀行

2024年5月号 <ITの選び方&使い方>

三井住友信託銀行

社内に散在するナレッジを一元管理
Q&Aのレコメンドで通話時間を20%短縮

POINTSイメージ

今月のPOINTS!

システム概要
オペレータが参照するナレッジの一元管理を目的に、野村総合研究所のFAQシステム『TRAINA FAQナレッジ』を導入した。さまざまなデータベースに分散して保管されていた千数百件のナレッジを集約し、応対中のナレッジ検索の効率を高めた。また音声認識連携により、オペレータのデスクトップ上に顧客の問い合わせ内容に即した回答(Q&A)を自動で表示する仕組みも実現した。

選び方のポイント
高度な検索機能やメンテナンスの簡便さを評価。さらにコールセンターを高度化する中核的要素として、回答案の生成、自動応答といった将来プランを構想、その実現性も含めて選定した。

使い方のポイント
格納するナレッジの整理、コンテンツ化はデジタル企画部が実施。コールセンターの管理者による評価やオペレータによるトライアルアンケートで得た要望をシステムに反映することで現場での使いやすさを追求した結果、勤務歴の浅いオペレータのATT(平均通話時間)は約20%短縮した。

 DC(Defined Contribution Plan:確定拠出年金)の運用方法や給付手続きは決して単純ではなく、加入時期と受取時期にタイムラグもあることから、多くの加入者がライフステージの変化に伴ってサポート窓口を頼ることになる。三井住友信託銀行のコールセンター「確定拠出年金コールサービス」は、DC加入者からの商品変更や掛金運用、給付手続きに関する相談、DB(Defined Benefit Plan:確定給付企業年金)・公的年金も含めた個別相談をワンストップで受ける“年金制度のプロフェッショナル集団”だ。

 「勤務歴」「年齢」など加入者1人ひとりの条件によって回答すべき内容が異なるため、オペレータには豊富な専門知識が要求される。デジタル企画部 CX高度化PT 主任調査役の尾塩真平氏は、「応対を支援するため多くのナレッジを用意していたのですが、複雑かつ多岐にわたるうえ、社内のデータベースに散在していたため、検索に手間取ってATT(平均通話時間)が長引く傾向にあることが課題でした」と説明する。

写真左から、デジタル企画部 CX高度化PT 主任調査役の尾塩真平氏、同 審議役の木戸竜彦氏、同主管、PT長の元岡伸浩氏
写真左から、デジタル企画部 CX高度化PT 主任調査役の尾塩真平氏、同 審議役の木戸竜彦氏、同主管、PT長の元岡伸浩氏

ナレッジは高度化の基盤
将来も見据えてシステム選定

 2022年10月、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」の加入要件緩和を契機とした個人での資産運用トレンドに伴い、問い合わせが急増。採用難に加え、業務の専門性の高さゆえに初期研修には6カ月〜18カ月の時間を要する。オペレータの増員のみではカバーしきれないと判断し、生産性向上に着目。課題だった「ナレッジ検索」の課題解消に向けた「ナレッジ活用高度化プロジェクト」を立ち上げた。

 プロジェクトは、コールセンターとデジタル企画部が密に連携をとりながら、「ナレッジの整理」「FAQシステム導入」「音声認識連携」の3ステップで進めた。

 ナレッジの整理は、デジタル企画部が主導。まず、さまざまな保管形式かつ複数のデータベースで管理していた千数百件のナレッジをQ&Aに変え、検索しやすいよう分類した。同 審議役の木戸竜彦氏は、「この前段階が最も重要です。どんなによい箱(システム)でも中身のナレッジの質が伴わなければ効果は出ません」と強調する。

 次に、FAQシステム導入は、ナレッジの整理に伴って洗い出した要件をベースに進めた。業務が複雑なうえ、制度改正などによって更新の頻度も高いため、①追加条件による結果の絞り込みなどの高度な検索機能、②簡便なメンテナンス機能の2点を重視。同主管、PT長の元岡伸浩氏は、「今後、応対の回答案生成、自動応答といった高度化を構想しています。これらの実現性も含めて選定しました」と説明する。結果、多くの要件を標準機能で対応できる野村総合研究所のFAQシステム『TRAINA FAQナレッジ』を導入した。

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会員限定2024年04月20日 00時00分 公開

2024年04月20日 00時00分 更新

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