AfterCall~電話の後で 第145回

2024年5月号 <AfterCall〜電話の後で>

山田祐嗣

コラム

第145回

外部機関の「目」を活用し
社内の運用・マニュアルを最適化しよう

 私が顧客サポート部門で働いていたとき、社内監査部門や社外機関、監督官庁によるさまざまな監査を受けてきました。監査の予告から実施までの準備期間が短いこともあり、寝る暇もなく資料の準備や作成に追われた日々が思い出されます。監査を受けるにあたって、定期的に行う部内点検の資料や他の監査で使用した資料などを用いて準備工数の削減に努めましたが、未作成の資料や更新されていない資料がたくさんあり苦労しました。

 監査は、「日々の業務が問題なく行われているか」「将来予見される各種災害やトラブルに速やかに対応できるようにマニュアル類が整備されているか」などを確認する目的で実施されます。日ごろから準備ができていれば最小限の工数で対応できるはずです。

 個々の監査項目については、「何のためにこの監査項目が設けられているのか」をしっかりと理解しなければなりません。とくに監査時に注視されるのが、直近に発生した災害やトラブルへの対策がきちんと取られているかです。それらに対応するには、災害やトラブルが発生した際、他社を含めてどのような対応を取り、どのような課題があったかを把握したうえで対策をとっておく必要があります。常日頃から自社および他社で起きていることにアンテナを張り、情報収集をしておくことが大切です。

 一般的に、自社でマニュアル類を作成する際には、想像力を最大限に膨らませ、あらゆる事態を想定しているはずですが、少人数の場合、その網羅性には一定の限界があります。そこで、あらゆる業界で発生した課題に対処可能な基準をベースに自社にあったマニュアル類を作成することで、課題に直面した時に組織がマニュアルに従って冷静に行動できるのです。

 日々発生する業務上のトラブルや業務変更への対応に追われ、最新の状況にあった資料になっていないという企業が大半でしょう。資料やマニュアル類も、定期的に確認し見直さなければ、いざというときの正しい行動に結びつきません。マニュアル作成当時に最適であった対応が、現在も最適な対応であるか常にチェックし続ける必要があります。また、現状や時代にそぐわない規程やマニュアル類は定期的に更新や廃止、必要に応じて新設が求められます。

 そうした中においては、社外監査を活用し、企業のサポートの在り方を規定し評価してもらうことはとても有効です。コロナ禍、顧客が企業のサポートに求める対応は、以前とは大きく変化しています。このような時代だからこそ、外部機関がさまざまな企業を見てきた「目」を通して、最新の基準で定期的に監査を受けることで、サポート組織の対応力が強化され企業のビジネスの成功につなげることができるのです。とくに最近、大規模な情報漏洩事件やBPOベンダーによる不正請求なども起きています。定期的に業務を客観的な視点で監査(チェック)することは必要なことといえるでしょう。

PROFILE
山田祐嗣
HDI国際認定資格取得者:HDIイベント、認定トレーニング、格付けベンチマーク、メンバーネットワーキング、実態調査などを通じてサポート業界に価値を提供し、サポートセンターのサービス品質向上および地位向上を目指し活動をしています。

2024年04月20日 00時00分 公開

2024年04月20日 00時00分 更新

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