2021年6月号 <第2特集>

第2特集扉

データと事例に見る
コロナ禍の『メンタルヘルスケア』

Part.1 <ストレス実態調査>

時間管理・就業環境・希死念慮──
コロナ禍における「在宅勤務」の影響度

新型コロナ禍でエッセンシャルワークとして重要性が増したコールセンター。一方で3密環境への不安や不慣れな在宅勤務などでメンタル不調に陥る従業者も少なくなかったようだ。アクティブワークケアと関西福祉科学大学心理科学部は、このほどコールセンターを対象としたストレス調査を実施。在宅勤務がどのような影響を与えたかを中心にまとめる。

 コールセンターに特化したストレス調査を実施するアクティブワークケア(柴山順子代表理事)は、関西福祉科学大学心理科学部との共同研究で、コールセンター従業者2507人を対象に「コールセンターストレス調査」を実施した。これは、2011年に実施した調査(サンプル数3176人)から10年ぶり。今回は前回の調査項目に加え、「コロナ禍の影響」に関する質問項目を設けた。調査時期は2020年10月〜11月。対象は調査協力企業からの周知に自主的に応じたコールセンターの従業者。協力企業は10年前の調査と同一ではない。

 同調査では、ストレス特徴を把握する1つの方法として、回答の内容により従業者を「くたくた」「らくらく」「へたうち」「しのぎ成功」の4つに分類している(図1)。

 4つの分類グループを2011年と2020年で比較すると、ストレス原因が多くストレス反応も高い「くたくた」な従業者の割合が10.6%から33.9%へと増加している。しかし、これは10年間でストレス耐性が弱い従業者が増えたわけではない。

 他の分類グループをみると、ストレス原因が少ないのにストレス反応が高く出ている「へたうち」の従業者は19.1%から14.4%に減少し、ストレス原因が多いのにもかかわらずストレス反応は低い「しのぎ成功」の従業者は8.3%から15.8%と大幅に増加している。つまり、ストレスとの付き合い方が上手な従業者が増えている、ということだ。この10年間で、ストレスに関する知識や対処方法が組織内に浸透しつつあると言える。

 一方、減少したのは、ストレス原因が少なくストレス反応も低い「らくらく」な従業者の割合だ。10年前の56.6%に対して、今回の調査では35.8%となった。これこそが「新型コロナ禍」という新しいストレス原因が現われた影響と考えられる。適度なストレスは、生物が進化し生き延びる力となり得る。従って「ストレス原因が少ないからストレス反応も低い」というのは、必ずしも良い状態ではない。

 センター内のストレス原因を低減させるだけでは、ストレスマネジメントとして十分な対処とは言えない。重要なのは、新たなストレス原因にも対処できるようなコーピング(ストレス対処方法)の選択肢を増やすことであり、耐性を高める努力である。コロナ禍は、コールセンターのストレスマネジメントの重要性を改めて認識させることとなった。本誌では、そのヒントとなる在宅勤務とストレスとの関係性を詳しくまとめている。

図1 コールセンターストレス調査の総合結果(n=2507)

図1 コールセンターストレス調査の総合結果(n=2507)

 

 

Part.2 <事例/在宅時のメンタルヘルスケア>

リーダーのマメな「1on1」は絶対条件
事例に見るリモート・コミュニケーション

コロナ禍、就業環境への不安による不調を訴えるスタッフが増えている。とくに在宅センターおいては、3密に対する不安が解消できる一方、「孤独」が大きな不安要素となりつつある。Part.2では、在宅ワークでセンターを運営している4社の具体的なケアを掲載。また、アロマなどを展開する生活の木に、手軽に取り入れられるケアの手法を聞いた。

CASE STUDY 1:ロイヤルカナン ジャポン

<ステータス/状態を見える化するツール>
状況の見える化、常時コンタクトできる仕組み
“いつも守られている”という安心感が予防になる

CASE STUDY 2:GMOペパボ

<雑談会/1on1ミーティング>
在宅勤務のストレスを見える化する!
「拠点でできていたこと」をオンラインで再現

CASE STUDY 3:ベルトラ

<マネジメントの心構えと気配り>
在宅制度を一歩進めた「帰省リモートワーク」
徹底した“個人”へのフォローでケア

CASE STUDY 4:LiveSmart

<ビジョン・ミッションの共有>
「自分の価値」を見失いやすい在宅勤務
“会社の将来”を常時共有する機会を作る

Column/Technique:生活の木

コロナショックの不眠とストレスを軽減
アロマの癒やし効果と活用術

 

Appendix <緊急アンケート!>
コロナ禍のメタルヘルスケア実態調査

浮かび上がる在宅のメリット/デメリット
課題は「オンラインMTG」の濃度と密度

新型コロナウイルス感染症の拡大による1回目の緊急事態宣言から1年。在宅シフトや拠点内での「3密対策」など、さまざまな施策を実施しているコールセンター運営各社だが、ここにきて「オペレータやSVのメンタルヘルスケア」を課題視する傾向が強まっている。もともと「感情労働」と指摘されているコールセンターなだけに、在宅・拠点問わず、スタッフの精神面でのケアは大きなマネジメント要素でもある。

 コールセンタージャパン編集部では、主にマネージャー層を対象としたメンタルヘルスケア/ストレスケアに関するアンケート調査を実施。52センターからの回答結果をまとめた。

 現場レベルでの課題として目立ったのは、「在宅/非在宅」の区分が生じたことによる不満や不安、さらに在宅スタッフに対するケアの経験が圧倒的に不足していること。とくに在宅時のオンラインミーティングの重要性が浮き彫りとなっている。

 コロナ禍が長引き、少なくとも5月現在、終息の気配は感じられない。在宅にせよ拠点運営にせよ、社会インフラの一翼を担う存在とされているコールセンターのスタッフへのケアは、さらに大きなポイントとなりそうだ。

図2 新型コロナが影響したと思われるメンタル不調者について(n=52)

図2 新型コロナが影響したと思われるメンタル不調者について(n=52)

 

2024年01月31日 18時11分 公開

2021年05月20日 00時00分 更新

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