2022年6月号 <キーパーソン>

野口 竜司 氏

2年前のAIはレガシーと思え!
現場こそ必要な知識のアップデート

日本ディープラーニング協会 人材育成委員
ELYZA 取締役CMO
野口 竜司 氏

PROFILE

野口 竜司 氏(Ryuji Noguchi)

ZOZO NEXT 取締役CAIOやZホールディングス Z AIアカデミア幹事を経て現職。大手企業向けのAI戦略/企画策定やAIプロジェクトのHands-onなどのコンサルティングを提供。とくに文系AI人材の育成支援を実施。著書に「文系AI人材になる」など。

第3次AIブームの発生から数年。もはや日常生活に浸透したAIサービスだが、エンタープライズ、とくに導入が先行したコールセンターにおいては、ブームが一段落した2〜3年前で知識のアップデートが停止している傾向が強い。長年、エバンジェリスト的な活動を展開する野口氏に、「AI活用の現在」を聞いた。

──AIをはじめとしたDXアドバイザーとして活動されていますが、経歴を教えてください。

野口 大手企業数社でAI戦略や企画といったアドバイザリー活動を行うと同時に、2022年春まではZOZOおよびZホールディングスでAI活用を推進、CAIO(Chief AI Officer)として活動していました。また、日本ディープラーニング協会で人材育成委員を務め、4月からは大規模言語AIサービスを開発・提供する「ELYZA」にCMOとして参画しています。

──協会の仕事とは。

野口 AIを活用するには、まず人材育成が欠かせません。とくに、データサイエンティストのようなAIを作る人材ではなく、ビジネスサイドや企画サイドで「活用する、使いこなす人材」を育てるために、協会でさまざまな啓もう活動を行っています。

──AIを使いこなす人材に必要なリテラシーとは?

野口 AIができることを知ることと、AI活用を企画できること、AIを導入することができるという3点です。とくに「企画できる人材」については、使いどころを判断できる人材と言い換えることもできます。同じ業界における事例などの知識である「キラー・ユースケース」のインプットが必要です。

──第3次AIブームから数年が経過しました。現状をどう捉えられていますか。

野口 AIが「魔法の杖」ではないことは、さまざまな実証実験を経て理解が進みました。結果、幻滅された方も多かったはずです。最も危機感を感じるのは、「幻滅した時点で知識がアップデートされていない方」が多いということです。現在は凄い勢いでAI活用が進んでいる最中です。過去の常識を捨てて新たな知識を得ていただきたいと思います。

 例えば、すでにあらゆるAI機能を提供するプラットフォーマーが登場しており、ノーコードで安価に活用できる環境が整っています。ブーム直後のように、大規模投資をすることなく、当時をはるかに凌駕する機能を利用できます。2年前のAIはすでにレガシーだと考えるべきです。

──現段階でAIがカバーできる仕事について教えてください。

野口 AIは、「識別」「予測」「会話」「実行」の4つに分類することができます。この1年間で最も進化した領域が、「会話系AI」です。すでに高校生の現代文程度の問題なら容易に解くことができるレベルに達しています。

 その原動力が、「大規模言語AI」で、日本語でもELYZAが提供開始、すでに保険会社のコールセンターで、要約機能を利用して後処理時間を大幅短縮した成果が発表されています。