2022年3月号 <わたちゃんのかすたま〜えくすぺりえんす>

わたちゃん

<著者プロフィール>
職業:顧客経験価値にこだわる戦略立案&業務改革コンサルタント
過去勤めたことのある企業:日本ユニシス、日本IBM、日本テレネット
週末の過ごし方:
<ケース1>隅田川あたりをぶらぶら散歩して浅草で飲んだくれたあと銭湯で汗を流す
<ケース2>スポーツジムでヨガレッスンを受けて汗を流す
最近の悩み:昔は痩せの大食いだったのが、最近は小食の小太りになっていること

最新ビックデータビジネスの強みは
「人との共創」にあり

ISラボ 代表 渡部弘毅

 毎朝、NHKの連続ドラマを楽しみにしている、わたちゃんです。2021年の前半は、「おかえりモネ」で気象予報士や気象サービスの素晴らしさを学びました。

 国内最大の気象情報サービス会社、ウェザーニュースは、サービスの月間利用者数が年々増え、2021年期では3894万人となり、12期連続で増収となっています。とくに、「線状降水帯マップ」や「水道管凍結予想」といった個人向け有料情報サービスが増えています。個人向けに新たにリリース、あるいはバージョンアップしたコンテンツは年間で50個にものぼっており、週に1つのペースに達しています。収益的にも月300円台のプランが基本の有料会員からの売り上げが約90億円、全体の約50%近くを占めています。まさしく、ビックデータを資源としたサービスの最先端のビジネスモデルを実現している企業といえるでしょう。

 同サービスは、国内1万3000カ所の観測網と、気象庁、世界中の気象機関から提供されるデータを融合し予報精度を高めた「最新ビックデータビジネス」です。これらを支えているのは、実は、さまざまな「人」による共創の仕組みなのです。

 具体的に、そのひとつが同社に情報を送ってくれる各地の「サポーター」です。有料、無料のサービス利用者から各地のピンポイントの情報が1日約20万通も送られてくるそうです。「水道管凍結予報」の場合、実際に凍結したタイミングをその都度教えてもらい、同社がその時の気象データとの相関関係を分析するといった、きめ細かいサービスの源泉となっています。

 2つめは、外部専門家の知見を活かすことです。気象医学の専門医の知見を活かして「天気痛予報」のサービスを構築しました。もちろん症例報告にはサポーターの情報を活用しながら分析精度を高めていきます。

 3つめは、サービス利用者(顧客)の声です。ウェザーニュースではサービス開発に向けた検討が毎日実施され、その検討メンバーの中には、利用者からの意見に対応するサポートデスクのメンバーが参加しています。常に顧客の声を反映した分析結果から、利用者のニーズを満たすサービスをいかにスピーディーにリリースするかを心がけている証明といえるでしょう。

 こうした、デジタル技術と人の共創が組み合わさった循環が競争優位の源泉ではないでしょうか。

 ということで、おかえりモネは「学び」が多かったドラマですが、自分としてはもう少し「泣き」が多いドラマを期待してしまいます。そして、やっぱり時代は昭和でないと。

図 ウェザーニュースのビックデータビジネスの強み

図 ウェザーニュースのビックデータビジネスの強み

2024年01月31日 18時11分 公開

2022年02月20日 00時00分 更新

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