2022年2月号 <インタビュー>

前田 ジェームス 氏

コロナ禍を勝ち抜いたDX戦略の中核
「顧客理解」を進化させたVOCループの実践

日本ロレアル
経営戦略・マーケティング開発本部
チーフ コンシューマー オフィサー
前田 ジェームス 氏

仏国に本部を置く大手化粧品会社、ロレアルグループはすでに2010年頃から、グループ全体でDX推進に舵を切っていた。これにより日本ロレアルは、コロナ禍で大きな打撃を受けた化粧品業界にあっても安定した成長を遂げている。同社のDX戦略について、前田CCOに話を聞いた。

Profile

前田 ジェームス 氏(James MAEDA)

日本ロレアル 経営戦略・マーケティング開発本部
チーフ コンシューマー オフィサー

カナダ出身。2002年に日本ロレアルに入社。2008年より、パリ本社においてアジア地域におけるコンシューマー インテリジェンスのマネージャーに就任。フランスでのキャリアを積んだ後、2012年に帰国し、コンシューマー&マーケット インテリジェンス(CMI)のシニアマネージャーに就く。2018年より、チーフ コンシューマー オフィサー(CCO)に就任、現在に至る。

──新型コロナの流行で、外出機会が減ったことによる市場全体への打撃は大きかったと推察されますが、影響は。

前田 2つ、大きなトレンドがありました。当社が扱う化粧品は、スキンケア、ヘアケア、メイクアップの3つのカテゴリに大きく分かれますが、マスク着用の影響でメイクアップ製品はやや落ち込みました。ただ、複数のブランドを抱えており、ポートフォリオ全体を見るとそれぞれのカテゴリに強いブランドがバランス良く存在していますから、メイクの落ち込みは他のブランドで補うことができています。

 もう1つのトレンドは長引く巣ごもり生活です。家で過ごすことで、スキンケアやヘアケアにはむしろ時間をかけて楽しむ人が増えました。また、化粧品の正しい使用法やマスク用のメイクを学びたいという人も増えた印象があります。販売チャネルもEコマースの利用が進んだことは大きな後押しになりました。従来は百貨店などで購入していたブランドをオンラインで購入する人が増えています。

──とはいえ、高級ブランドは対面販売が主流だったのでは。

前田 化粧品に限らず、新型コロナ禍では百貨店ブランドへの影響が大きかったのは事実です。そのため、いかにそういったお客様にもオンラインでスムーズに商品を買っていただくかが重要となりました。実際、顧客タッチポイントのマルチチャネル化は、コロナ以前から起きていました。ロレアルグループ全体では、すでに2010年頃から、DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略に舵を切っていました。オフラインでもオンラインでも、顧客のブランド体験がすべてのタッチポイントにおいて高いレベルで均質かつ満足のいくものであることを目指したのです。コロナ禍でオンラインシフトが加速し、従来から取り組んできた施策が強みとして発揮できたと考えています。

──オンラインへの誘導にはどのような工夫をしたのでしょうか。

前田 例えば、eBA(eビューティーアドバイザー:デジタル美容員)が対面接客に代わってチャットでカウンセリングしたり、オンライン上でメイクを試したりできるバーチャルトライオンというサービスを用意しています。

(聞き手・山本 浩祐)
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