ブラザー販売
オムニチャネル化で挑む呼量のコントロール
繁閑差を緩和し“つながる”法人サポートを実現
ブラザー販売は、経営方針の転換や応答率維持の課題に対応するため、システム改革に踏み切った。Web系チャネルでのトランザクション管理をひとつのシステムに統合。顧客に対してチャットやメールなどノンボイスチャネルの利用を促進し、コールセンターの生産性向上を図った。これにより、呼量の繁閑差を抑制し、高い応答率を保っている。
ブラザー工業のグループ会社で、日本国内のマーケティングや販売業務を担うブラザー販売(名古屋市、三島 勉代表取締役社長)のコールセンターでは、主にプリンターなどの情報機器に関する問い合わせに対応している。
2019年、BtoC領域の伸びが鈍化したことを受け、経営方針として法人窓口のサポート強化にシフトした。そこで、新たな課題として浮上したのが接続品質の改善だと、CS推進部 コンタクトセンター システム企画チームの野坂健三氏は説明する。
また、電話とメール、チャット、それぞれで別のシステムを活用して対応しており、必要な情報や対応履歴にスムーズにアクセスできない点も野坂氏は問題視していた。OA機器のトラブルシューティングや消耗品に関する問い合わせは、過去のやり取りを参照する必要性が高い。「全チャネルをシームレスに連携したサポート体制が不可欠でした」と、野坂氏はシステム改変に踏み切った経緯を説明する。
目指したのは、「デジタルシフト」による生産性向上と、それを実現するためのチャネル最適化だ。チャットやメールへの導線を強化し、電話窓口には電話でしか解決できない問い合わせを受け付ける体制構築を図った。
同社は2019年11月、日本オラクルのCRMソリューション「Oracle Service Cloud」を新たに導入し、チャット、メール、CRM、FAQの対応履歴を同システムに統合、オムニチャネル化を進めた。また、ジェネシスクラウドサービスのクラウドコンタクトセンター・システム「Genesys Cloud」を併せて導入。野坂氏は、「オラクルのシステムと相互補完的に機能しています」と説明する。
前者を利用してのオムニチャネル化やデジタルチャネル戦略について、野坂氏は活用方法などを説明。また、後者で実現する“電話というアナログ領域”でのデジタルシフトについては、応答率向上の一番のカギとなる「電話予約システム」に関して同チームの戸田さやか氏が詳しく解説した。
CS推進部 コンタクトセンター システム企画チームの野坂健三氏(右)と戸田さやか氏(左)
図 問い合わせ導線
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Center Profile
法人/個人からの問い合わせに対応している。プリンタなど情報機器に関するトラブルシューティングが中心。チャネルは電話・メール・チャットで、業務委託のコミュニケータがマルチスキルで対応。2拠点で運営しており、現在は約120席を擁する。
2024年01月31日 18時11分 公開
2021年08月20日 00時00分 更新