2021年4月号 <ボイストレーニング・ワンポイントレッスン>

Voice Training Onepoint Lesson

<著者プロフィール>
ビジネスボイストレーニングスクール「ビジヴォ」代表。「声」「話し方」に問題を抱えるビジネスパーソンを4万人指導。250社の企業研修を行う。音楽家ならではの聴力と技術を駆使した、「超絶対音感」によるボイストレーニングが話題を呼び、TVなど多数出演。著書に『「話し方」に自信がもてる 1分間声トレ』『ビジネスの発声法』などがある。

一瞬で声の高さ・印象を変える「共鳴」

秋竹朋子

 とある営業系のコールセンターでの話です。

 私のこの企業に対する第一印象は、「オペレータさんたちの声が、ちょっと暗い」ということでした。そこで、声のトーンを少し上げるトレーニングを行いました。その結果、アポイント率が、昨年対比で2割アップ。もちろん、売り上げも上昇しています。スクリプトはそのままで、「お電話、ありがとうございます」「少々、お待ちくださいませ」といった決まり文句も一切、変えていません。声の高さを上げただけです。

 声の高さは、相手に抱かせる印象に大きく影響します。「暗い雰囲気」という印象は、声のトーンの低さが原因の1つになります。

 この企業では、オペレータが全員女性だったので、高い音に声を揃えるようにしました。女性の声域は、ピアノの鍵盤でいうと真ん中のド〜ファくらいになります()。そこで、明るい感じに聞こえる高めの声、具体的には「ミ・ファ」で話せることを目指しました。

 加齢で声が低くなる女性は多く、「自分の声は低いので高い声を出すにはどうしたらいいのか?」という質問をされることも多いのですが、声を高くすることは誰にでも簡単にできます。

 まず、まったく笑わず、「いいね」と言ってください。今度は、口角を上げて、思いっきり、にっこり笑って「いいね!」と言ってみてください。聞き比べると分かると思うのですが、口角を上げると声の高さが高くなります。鍵盤でいうと1音〜1.5音ぐらい、音が高くなるのです。ただ口角を上げるだけで、声を高くすることができるのです。

 この営業系コールセンターでは、まず腹式発声を実施。次に、「共鳴によって、声の響かせ方や声の高さを変える」というトレーニングを行いました。

 共鳴とは、モノとモノが震え、その振動が響く現象です。人間の体も、この振動現象を起こすことができます。声は、喉の声帯を震わせることで出ますが、その振動を体を使って響かせると、より通る声になります。体のどこで響かせるかで声の高低が決まってきます。胸のあたりだと低音(チェスト・ボイス)、鼻のあたりだと中音(ミドル・ボイス)、頭のあたりだと高音(ヘッド・ボイス)が出ます。

 研修を行ったコールセンターでは、その後、「ミ・ファ」の高さで電話応対するように心がけてくれました。その結果、「声のトーンの高さが変わることで、電話の相手の反応がまったく違った」という報告をいただきました。

 ただ、高齢のお客様が多い場合は、低い声の方が聞き取りやすい傾向があります。聞き取りやすさと相手に与える印象をバランスよく意識して、表情を変え、声の高さをコントロールしていただければと思います。

図 ピアノの鍵盤

図 ピアノの鍵盤