2021年3月号 <わたちゃんのかすたま〜えくすぺりえんす>

わたちゃん

企業と顧客の関係を変える
マーケティングのデジタルシフト

ISラボ 代表 渡部弘毅

 毎日サウナを入りにいっているジムで、たまに筋トレをしていると、「おっ珍しい、明日は雨かな」とオヤジ仲間に皮肉を言われる、わたちゃんです。危機感だけは持っているのですが。

 デジタル技術を使ったマーケティング、いわゆるデジタルマーケティングは、昔を知っているマーケターにとっては、もはや夢のようなことが可能になっています。

(1)ハワイ旅行のサイトを見ていたら、それ以降ハワイツアーの広告がどんどん表示されるようになった

(2)ECサイトでアパレル商品を買った翌日には、購入商品とコーディネートされたグッズをおすすめするメールが届き、期間限定の割引クーポンがついていた

(3)旅行で観光地に着いた直後に、近所のレストランや土産店の案内がクーポン付きでLINEで届いた

(4)Facebookで「ダイエットしたいが長続きしない」という投稿をしていると、スポーツジムの広告が多くなった

 以上のように潜在顧客をいち早く見つけて、メッセージを送るといったことが容易になったわけです。しかし、デジタルマーケティングとは、これらが実現できるというだけでしょうか?

 マーケティングの神様である、フィリップ・コトラーは自身の書籍「コトラーのマーケティング4.0」(2017年)で、マーケティングのパラダイムシフトの重要性を解説しています(参照)。そのきっかけなったのが、生活者のデジタルシフトによって、企業と顧客のつながり方が大きく変わったことです。

 インターネットの登場で企業と顧客はダイレクトにつながり、SNSの登場で顧客同士がつながるようになりました。さらにスマートフォンや高速ネットの登場で、顧客同士、顧客と企業は24時間、常時接続する関係ができています。

 こうなると、従来の「企業と顧客はハンターと獲物の関係」、すなわち狩猟型のマーケティングは通用せず、共存共栄関係、つまり農耕型マーケティングが重要となります。農耕型とは「ファン」をじっくり耕すように時間と労力をかけてつくることです。

 そのために活用するのがデジタル技術です。決して、ストーカーのように顧客の行動を監視して少しでも購買意欲がありそうだとわかったら湯水のように広告を配信することではありません。ファンづくりのためのコミュニケーションを実現することが、本当の意味でのパラダイムシフトです。

 ということで、僕のジムも、もう少し僕のメタボ対策に寄り添った共存共栄サービスがあればいいのにな、と思う今日この頃です。

図 マーケティングのパラダイムシフト

図 マーケティングのパラダイムシフト