2020年8月号 <インタビュー>

下村 芳弘 氏

信頼回復への特効薬はない!
長期戦見据える「3密対策」と「不正防止」

日本コールセンター協会
会長
下村 芳弘 氏

「3密」対策が労働問題化し、6月にはテレマーケティング企業の不正が相次いで発覚。コールセンター業界に強烈な“逆風”が吹いている。業界をリードする日本コールセンター協会の会長で、不正が発覚したりらいあコミュニケーションズを出身母体とする下村氏に、この数カ月の協会の活動と取り組みを聞いた。

Profile

下村 芳弘 氏(Yoshihiro Shimomura)

日本コールセンター協会 会長

1987年 もしもしホットライン(現りらいあコミュニケーションズ)入社。創業から32年従事し、2019年6月、代表取締役専務取締役を退任(顧問)。2015年6月、日本コールセンター協会代表理事副会長、2017年代表理事会長に就任(現任)

──新型コロナウイルス感染症の拡大で、コールセンターの「3密」環境が業界内外の耳目を集めました。日本コールセンター協会として実施した活動について聞かせてください。

下村 2020年1月から経済産業省、厚生労働省の周知要請に従い、会員企業に対する新型コロナウイルス感染症関連の情報(メール)配信を行い、とくに政府による休校措置に関しては、雇用調整助成金の活用を中心とした従事者に対する十分な手当てを要請いたしました。配信はすでに26回を数えています。そして協会の総務委員会を中心に議論を重ね、5月1日に「コールセンターにおける新型コロナウイルス感染症対策に関する指針」を公開しました。感染防止の徹底、在宅勤務の検討、必要に応じた業務内容の見直しや縮小など、従業員への適切な配慮を求め、同時に雇用を維持する要請が骨子で、生活者の皆さまにはコールセンターの現状へのご理解とご配慮を呼び掛けています。以降、経済産業省などの検証も受けて、指針は2回にわたって改訂、5月21日に公開したものを最新として、現在も会員各社のみならず、非会員企業に対しても働きかけています。

──今回のパンデミック対応は、これまでの災害時の対策とは異なる要素が数多くありました。協会として指針を打ち出す際の方針はどのようなものだったのでしょうか。

下村 コールセンターは、緊急事態宣言以降、非対面接点のニーズが急増したことで多くの企業で呼量が増加しました。一方で密閉・密集・密接の「3密」対策がソーシャルメディアを中心に指摘されたのも事実です。ニーズに応えようとすると3密になるという、相反する実態があったのです。そうしたなか、コールセンターの執務環境を心配する声が従業員などから上がっていることを耳にしました。

 また、医療従事者や清掃業者、生活必需品の販売店などが「エッセンシャルワーカー」として認められたように、コールセンターのオペレータも同様に見てもらいたいという思いも、指針を早期に打ち出した背景にあります。

(聞き手・矢島竜児)
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