2019年12月号 <インタビュー>

小谷 敦子 氏

安定性よりも「チャレンジできる環境」
若者が選ぶ“働きたい職場の条件”

コーナーストーン オンデマンド ジャパン
マーケティング シニアディレクター
小谷 敦子 氏

もはや、新卒で入社した会社で「定年までまっとうしよう」という若年層はほとんどいない。超大手企業の経営者も「終身雇用の限界」に言及する時代だ。タレントマネジメントの重要性を説く、小谷敦子氏は、「若者を惹きつける会社は、個々のチャレンジを推奨し変革を起こせる環境があることが条件」と提言する。

Profile

小谷 敦子 氏(Atsuko Kotani)

コーナーストーン オンデマンド ジャパン
マーケティング シニアディレクター

セールスフォース・ドットコム、シトリックス・システムズなど急成長した外資系IT企業でマーケティングやコンサルティング分野での20年にわたる経験がある。需要の創出とブランドの確立を担う包括的なマーケティングで新しい市場を創出してきた。2017年より現職。

──雇用環境や、就業に対する意識の変化をどのように捉えていますか。

小谷 トヨタ自動車の豊田章男社長や経団連の中西宏明会長が「終身雇用モデルは見直さざるをえない」と口を揃えるように、新卒一括採用や終身雇用という従来の雇用モデルは、すでに崩れつつあります。並行して、とくに若者のキャリアプランは多様化し、人材の流動性が高まっています。2010年頃から急成長するベンチャー企業が増え始めており、社会人として最初のキャリアが「起業」や「スタートアップへの参画」という人材も珍しくありません。従来は、大企業からスピンアウトして起業するということはあっても、その逆はありえませんでした。しかし最近は、起業したビジネスがうまくいかなかったとしても、その経験が評価され、大企業に入社するケースも出始めています。

 こうした雇用環境の変化に伴い、求職者の意識も「就社」から「就職」へと変化しています。どの会社に入りたいかではなく、何をしたいか、それができる会社はどこかということを重視した就職活動です。結果、企業選定の基準は、企業ブランドや安定性、福利厚生をはじめとした制度の充実度の優先度が下がっています。リクルートキャリアの調査によれば、多くの学生が入社の決め手にしていることは、「自分が成長できること」だということです。

望むキャリアを実現できるかどうか
「チャレンジできない」は退職促す

──成長できるかどうかを、どのようなポイントで判断しているのでしょう。

小谷 例えば、転勤や異動が上からの命令だけではなく、自ら志願できる制度があるかどうかや、望むポジションにつくための教育を支援する環境が整っているかどうかなどです。個々のチャレンジを支援する仕組みがある会社には、いい人材が集まります。デトロイトトーマツの「2017 Global Human Capital Trends」によれば、42%の人が、『チャレンジする機会、成長する機会がないと判断した場合、その会社を辞めてもいい』と回答しています。

──会社にとっても、チャレンジする意欲が高い人材は魅力的ですね。

(聞き手・石川 ふみ)
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