2019年1月号 <インタビュー>

池邉 竜一 氏

RPAはブランディング・ツール
“退屈な仕事”を排除して企業力を高める

キューアンドエーワークス
代表取締役社長
池邉 竜一 氏

「就活中の新卒人材は、企業のRPA化をウォッチしている」と強調するのが、日本RPA協会の理事でもあるキューアンドエーワークスの池邉社長だ。仕事への意欲の高い人材は、「退屈なルーチンワークはしたくない」という意識が強い。従って、RPA活用は、業務効率化だけでなく、採用力などの企業ブランドの向上にも貢献するという。

Profile

池邉 竜一 氏(Ryuichi Ikebe)

キューアンドエーワークス 代表取締役社長

1971年12月生まれ。大分県出身。慶應義塾大学経済学部卒業。2001年4月、代表取締役就任。エンジニア育成・派遣事業を中心に、テクニカル系コールセンターへの派遣、RPAによる業務改革を通じて新たな労働力の創出に取り組む。2016年7月、一般社団法人日本RPA協会の理事に就任。

──人手不足を背景にRPAを導入する企業が増えています。成功している企業に特徴はありますか。

池邉 RPAを導入する前提として、環境が整っている企業と、そうでない企業で、まったく様相が異なります。業務の棚卸しを終えて、コア業務とノンコア業務を可視化し、平準化できている企業はRPA化に成功しています。具体的には、グローバル企業、BPO企業、金融機関です。グローバル企業は世界展開しているため、業務を平準化して、各国で同じやり方を踏襲させています。BPO企業は、経理なら共通の経理業務を設計し、各社から仕事を請負う。金融は他と異なり、業務を透明化することで不正を起こせないようにしています。いずれも業務の棚卸し、可視化、平準化ができている。こうした企業にRPAは非常にマッチします。

 しかし、一般企業は業務の可視化・平準化ができていません。これは1990年代初頭に起きたバブル崩壊に起因します。この時、多くの企業は新卒採用を止めて既存社員を守る戦略を採りました。やがて定年退職などで社員が辞める際に、コア業務・ノンコア業務に限らず、残った人員がその人の業務を引き継いでいきました。このため、誰もが何でもやる多能工の文化が根付き、ノウハウが属人化していったのです。本来、RPAは業務を可視化して、自動化する領域を見極める必要があります。そうでなければ、RPAをどこに当てはめればよいか見えてこないのです。

──業務の可視化とは、具体的にどうすればいいのでしょう。

池邉 当社では、RPA導入に特化した業務可視化ツール「RoboRoid-HIT.s(ロボロイドヒッツ)」を活用しています。これはRPA化の対象となる業務の棚卸しを複数の記号に置き換えるもので、特定業務の開始から終了までをステップごとに書き出します。例えば、交通費精算の申請であれば、申請書を作成し、社員番号・内容を記入、本人の捺印、上長の捺印、人事部への送付、記入漏れチェック─など、各プロセスを洗い出します。そのうえで人がやる必要がない部分を抽出してRPA化を進めます。記号化するのは誰が見てもわかるからです。他部署間での意識合わせが容易になります。

(聞き手・山本 浩祐)
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