2017年11月号 <わたちゃんのかすたま〜えくすぺりえんす>

わたちゃん

“明日の売り上げ”につながる応対をしよう

ISラボ 代表 渡部弘毅

 ローンの繰り上げ返済に闘志を燃やしているカミサンのおかげで、「はたらけど はたらけど猶 わが生活 楽にならざり ぢっと手を見る」(石川啄木)、わたちゃんです。ほとんど、繰り上げ返済が“趣味”状態です。

 顧客ロイヤルティを、アンケートで測る場合は、自社や自社の商品を継続して購買、あるいは利用し続ける継続意向や、他人への推奨意向を見ます。小売業であれば、「1年後もこの店で購入している可能性をお聞かせください」という設問や、「この店を仲のいい友人に薦める可能性をお聞かせください」という推奨意向を問う内容となります。

 したがって、アンケート対象者の「今の売り上げ」ではなく将来、すなわち「明日の売り上げ」を確保できるかを確認しているのです。そして、アンケート分析から立案するロイヤルティ向上施策は「明日の売り上げ」に寄与する内容でなくてはいけません。

 しかしながら、サービスの現場では、ついつい「今日の売り上げ」を上げるための応対が繰り返されているような場面をよく見かけます。アパレルショップの接客現場において、顧客の体型や好みなどに合致するデザインの服でサイズが在庫切れという場合、「こちらのデザインもお似合いですよ」とオススメすることはよくあります。あるいは、食品などの通信販売の受注センターに試供品の申し込みで問い合わせをした顧客に、「本日正式お申し込みいただくと、もう1箱は無料でさしあげます」と受注をあおるような対応もあります。

 「今日の応対は1年後のお客様の行動、そして売り上げにつながる応対だ」という認識をもつことが、ロイヤルティの向上すなわち「明日の売り上げ」につながることになります。顧客の好みの服のサイズが無い場合、「お店へのお取り寄せでしたら数日かかりますが、弊社のオンラインサイトに在庫があれば自宅にお届けします」「お急ぎでしたら、弊社の競合店ですが、3店舗先のブランド店Aというお店にお客様の好みに近い商品が展示されていました。よろしければ、ご覧になってみてはいかがでしょうか」とご案内するような対応も考えられます。こうした対応が、最終的には顧客の信頼を勝ち取り、「明日の売り上げ」につながるのではないでしょうか。ファッション好きなスタッフのモチベーションも上がる接客になるはずです。

 こうした「明日の売り上げ」を作る応対が根付くことで目先の売り上げを目指した販促活動ばかりに頼らない、永続的な収益拡大につながることでしょう。

 ということで、早速、我家でも「目先の繰り上げ返済ばかりに目を向けないで、中期的視野にたった返済計画をたてて、今を楽しもうじゃないか」と提案してみました。案の定、今やオリンピックをゴールとしたアスリートが、体を鍛える鍛錬のような位置づけになってしまった返済活動は止まりません。“夢の完済”となったとき、カミサンが燃え尽き症候群にならないことを祈るばかりです。

図 今日の応対が1年後の売上を創る

図 今日の応対が1年後の売上を創る

2024年01月31日 18時11分 公開

2017年10月20日 00時00分 更新

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