基礎から学ぶ
コールセンターのKPI
Part.1 <マネジメントの基本>
CS、品質、コスト、生産性──
“何をすればカイゼンできるか”を識る
「日本企業のマネジメントは、“経験と勘”を重視する傾向が強すぎる」──東京大学総合教育研究センターの中原 淳准教授はこう指摘する。労働集約型かつ、外的要因による業務の量・質の変化が激しいコールセンターでは、不測の事態も往々にして起きる。それを乗り切るには、経験と勘ではなく“数値(KPI)”を読み取る能力が欠かせない。KPIの使いこなし方を検証する。
コールセンターの運営において、すべてのマネジメントが理解すべき知識、それが「KPI」だ。KPI=数値に基づいたマネジメントによって、属人的、あるいは“経験と勘”という不確かな要素への依存モデルから脱却することができる。Part.1ではその基本的考え方を整理する。
KPIマネジメントにおいて、最も重要なのは『各KPIの相関関係』を理解したうえで全体をコントロールするマネジメント・スキルだ。しかし、編集部が実施している「コールセンター実態調査」では、「応答率」というひとつのKPIを重視し、それだけをもって「コールセンターの成果」とする傾向が強いという危惧すべき状況が見て取れる。
「KPIを読み解く」とは、応答率や通話時間といった数値を単に過去と比較することではない。相関性を理解したうえで、「何をすればコールセンターの目的(例えばロイヤルティの向上、コスト削減など)を実現できるのか」を知ることにある。例えば、応答率とは、サービスレベル(X秒以内にY%のコールに応答するという基準値)の目標に基づいて人材配置した結果であり、予測呼量との乖離、AHT(平均対応時間)、稼働率など、さまざまなKPIと相関関係にある。センターの目的に応じて、「何をどう改善すればいいのか」を理解することは「KPIを活用する」ということになる。
図1 目的別のKPIを知る
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Part.2 <実践>
KPIの“相関関係”で読み解く
パフォーマンス向上の秘訣
さつきソリューション 代表 五月女 尚
コールセンターの管理者の多くは応答率(放棄呼率)のKPIだけを見て満足していないだろうか。応答率は、品質管理をするうえで重要であることには違いないが、他にも重要なKPIは多岐にわたり存在する。さらに、これらのKPIは個別の指標単体としてチェックするのではなく、相関関係性を読み解きながら検証すべきだ。「KPIの相関関係性を読み解く」とはどういうことなのか、解説する。
Part.2では、数々のコールセンターを立ち上げ、企業の経営に関わった経験も持つ、さつきソリューションの五月女 尚氏に、実際の数値データをベースにした「KPIの相関関係」を解説してもらう。
KPI管理においては、「論理的思考」をいかにマネジメントが体得できるかに成否がかかっている。
応答率向上のためのロジックツリーや稼働率改善のためのアプローチ、CPC(コスト・パー・コール)最適化のためのポイントをセンターの運営データをもとに解説。コールセンターの“現状と課題”を把握する方法を説明する。
図2 「応答率向上」のためのロジックツリー例
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2024年01月31日 18時11分 公開
2017年10月20日 00時00分 更新