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ANA X

2026年5月号 <ITの選び方&使い方>

ANA X

複雑な旅の予約操作をガイドで補助
エフォートレスな体験の設計

POINTSイメージ

今月のPOINTS!

システム概要
ANA Webサイト上の国内線航空券+宿泊予約「ANAトラベラーズ ダイナミックパッケージ」予約画面に、STANDSが提供するノーコードUI/UX改善SaaS『Onboarding』を導入して、チュートリアル形式の操作ガイドやヒントを実装した。

選び方のポイント
PoC(概念実証)における柔軟な対応力に加え、現場完結で表示場所や見せ方を細かくカスタマイズできる運用性、定例会議にて課題と改善のすり合わせを行う伴走支援力を評価した。

使い方のポイント
電話・メールなどで集まるVOC(顧客の声)をもとに、つまずきが明確な箇所には操作手順に沿って案内するツアー(ガイド)を表示し、補助的な案内で足りる箇所にはヒント型で配置。利用数や完了率、アンケート結果などを見ながら改善を続け、満足度を高めている。さらに、予約完了画面のフリーコメント欄の入力情報を他部署にも共有し、Webサイトやブッキングエンジン改善のヒントとして活用している。

 Web上にFAQやチャットボットを整備していても、すべての顧客を自己解決に導くのは難しい。とくに個別の条件や環境によって回答が変わる用件は、自己解決に必要な情報が用意されていても、顧客が求めるタイミングで完了までたどり着けず、電話での問い合わせに至るケースが少なくない。

 ANAグループのプラットフォーム事業を担うANA Xは、ANA Webサイトの、国内ツアー「ANAトラベラーズダイナミックパッケージ」予約画面に、STANDSが提供するノーコードUI/UX改善SaaS『Onboarding』を導入し、予約導線上の迷いやつまずきを解消する仕組みを整えた(画像)。

「Onboarding」の活用イメージ。「操作ガイド」をクリックすると、画面右側にツアー(ガイド)機能が立ち上がり、操作手順を表示する
「Onboarding」の活用イメージ。「操作ガイド」をクリックすると、画面右側にツアー(ガイド)機能が立ち上がり、操作手順を表示する

旅行体験の「入り口」で
予約を完了できないストレス

 狙いは、顧客がストレスなく予約を完了できる“エフォートレス体験”の実現だ。ANA X カスタマーリレーション部 企画推進チーム マネジャーの樋口 謙太郎氏は、「旅行商品の予約は条件分岐が多いため、画面遷移も複雑になりやすく、お客様が希望する旅程を組んでいく途中でつまずいてしまうケースがありました」と、導入前の課題を説明する。

 代表的なのは、2泊3日の旅程のうち1泊だけホテルを手配したいケースや、5人家族で「2名1室+3名1室」といった変則的な部屋割りを希望するケースだ。同サイトにはチャットボットを設置していたが、こうしたケースは自己解決できずにコンタクトセンターにエスカレーションしていた。

 コンタクトセンターの年間の問い合わせ件数は約9万5000件。このうち、予約関連の問い合わせの占める割合は1割弱と、件数面では突出して多いわけではない。だが、予約は旅行体験の「入り口」であり、ここでつまずけば購買離脱やブランド体験の毀損に直結する。また、電話問い合わせにおいては、「現在、画面に何が表示されているか」を視覚的に共有できないなかで、予約完了まで案内しなければならないため、顧客とオペレータの双方に負荷がかかっていた。

 そこで同社が注目したのが、Webサイトの画面上に操作案内を重ねて表示できるガイドツールだ。複数のツールを比較した結果、PoC(概念実証)段階での柔軟な対応力と、予約導線のどこに、どの形式で、どの文言を出すかを自社で細かく調整できる運用性を備えていたOnboardingを採用した。ツール導入をリードした同チームの鳥井優花氏は、「管理画面上で細かくガイドの出し方を設定できるなど、自社運用をイメージできたことが決め手でした」と説明する。また、週1回の定例会議において課題や改善案をすり合わせる伴走支援も評価した。

左から、カスタマーリレーション部 企画推進チームの谷 芹茄氏、マネジャーの樋口 謙太郎氏、鳥井優花氏
左から、カスタマーリレーション部 企画推進チームの谷 芹茄氏、マネジャーの樋口 謙太郎氏、鳥井優花氏

プッシュ表示、必要時のみ参照
VOC起点で「出し方」工夫

 導入設計で軸に据えたのはVOC(顧客の声)だ。問い合わせ件数が多いテーマから優先的にガイドやヒントを作成した。つまずきが発生しやすい箇所には操作手順に沿って案内するツアー(ガイド)を配置し、補助的な案内で十分な箇所には、顧客が必要時に参照できるヒント型の表示を置いた。こうした設計思想のもと、約10種類の案内導線を整備。PoCではそれぞれ複数パターンを試し、実際の予約画面上で使い勝手を検証した。

 管理画面で利用数や開始数、予約の完了率を確認しながら、アンケートで「役に立ったか」を収集。「役に立たなかった」と答えた利用者にはコメントを募り、改善に反映していった。同チームの谷 芹茄氏は、「ガイドやヒントに表示する内容も自社で即時に更新できるため、問い合わせの傾向に合わせて順番や文言を変える運用を実現できました」と強調する。

 結果、PoC時点では「約70%」だったアンケートの満足度は、直近では「80%」まで上昇した。こうした改善の積み重ねにより、予約操作に関する問い合わせは導入前比で約3割減少。「エフォートレスな顧客体験の実現により、結果として問い合わせ件数(呼量)を削減することができた」(谷氏)。

 さらに、予約完了画面に設けたフリーコメント欄に入力された要望は、Webサイトやブッキングエンジン改善のヒントとして他部署にも共有している。サポート用途にとどまらず、Web導線全体の改善につながる“顧客の声の収集基盤”としても機能し始めている。

 今後は、国内ツアーの予約において蓄積した活用ノウハウを生かし、海外ツアーへの導入を進める考えだ。加えて、特定キャンペーンへの誘導や属性に応じた案内など、販促領域での活用も視野に入れる。

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会員限定2026年04月20日 00時00分 公開

2026年04月20日 00時00分 更新

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