実践編
第1回新連載
コンタクトセンターでは常に事件が起きています。そこは、人と人が織りなす交流の“現場”だからです。今回からコンタクトセンターの現場で起こる事件を元に、SVが覚えておくべき教訓についてお話をしていきたいと思います。1回目のテーマは、「クレームにしてしまうオペレータ」です。お客様を怒らせるのはオペレータのせい? それともSVの責任? 一緒に考えてみましょう。
「事件は会議室で起きているんじゃない! 現場で起きているんだ!」という映画の有名なセリフにもあるように、実際に事件は、コンタクトセンターの現場でも日々起こっています。
オペレータの中には、本人は「普通に対応している」と思っているものの、対応が良くなくて、まったく怒っていないお客様をものの見事に怒らせてしまう人もいます。

現場でこんなことがありました。あるSVから、「オペレータのNさんがよくお客様を怒らせてしまうので、マネージャー(寺下)も実際にNさんの対応をモニタリングして、指導してほしい」という要望がありました。
私は、早速、Nさんのモニタリングをすることにしました。Nさんは、丁度、お客様の契約情報を確認しているところでした。お客様の契約情報と本人確認のため、Nさんはマニュアルに従って、名前を確認します。「フルネームでお名前を頂戴できますでしょうか」。名前は、あげるものではないので、「頂戴できますでしょうか?」というのは誤りで、本来であれば「名前を教えていただけますでしょうか」と尋ねないといけないのですが、まあそこは目を瞑ることにしましょう。冒頭に「恐れ入りますが」などのクッション言葉もつけていないので、その点も問題ですが、お客様は別に怒っていないので、まあこれもよしとしましょう。
その後です。Nさんがお客様の名前を漢字で確認する場面がやってきました。お客様のお名前は、苗字が「石川」さんでした。通常、この場合、あなたならどのようにお客様の名前の漢字を確認しますか? 「石川県の石川でよろしいでしょうか?」とか、「歌手の石川さゆりさんの石川でよろしいでしょうか?」と誰もが知っている固有名詞や有名人の名前などを参考に確認することが多いと思います。にもかかわらず、Nさんは違った確認方法を取ったのです。
私は、Nさんが丁度お客様を怒らせてしまっている時、SVに声をかけられ、そちらに気を取られてしまい、肝心な漢字の確認部分を聞けずにいました。SVとの話を終え、Nさんのモニタリングを再開しようとしたところ、Nさんが突然、「寺下さんに電話を代われとお客さんが言っています」と言って、ヘッドセットを私に渡してくるのです。「いやいやいや、私の名前をお客さんは知っているわけがないでしょ?」とNさんに聞いても、「寺下さんに代われとお客さんが言ってるんで、代わってください」と譲りません。
このままお客様をお待たせするわけにもいかず、Nさんから渡されたヘッドセットを着用して電話に出ました。すると、お客様が、「さっきのスタッフに、俺の名前を確認する時に、バカにされたぞ!」と言って、えらく怒っているのです。よく話を聞いてみると、Nさんはお客様の苗字の漢字を確認する際、「石ころの『石』でよろしいでしょうか?」と確認してしまったのです。私は、咄嗟に「大変申し訳ございませんでした」と謝罪し、何とか許していただきました。
数日後、またもやNさんはやらかしてくれました。NさんがSVに電話を代わってほしいという申告をSVにしていたので、理由を聞いたところ、またもや漢字の確認で、お客様を怒らせてしまったのです。お客様のお名前は、「辺見(へんみ)」さんです。Nさんは、「辺境の地の辺でよろしいでしょうか」と聞いてしまって、「そんな失礼な言い方があるか!」とお客様を怒らせてしまったのです。
また、ある時は、お客様のお名前が「与田(よだ)」さんだったのですが、Nさんは、「スターウォーズに出てくるヨーダと同じ読み方で合ってますでしょうか?」と変な確認の仕方をしてしまい、お客様を怒らせてしまいました。ここまでくると、お客様もなかなか許してくれなかったりします。「そのオペレータの対応が悪いんだから、教育すべき。まずは、本人から謝罪させるべき」と突っ込んで話をしてきます。ごもっともなことです。

こういう時、他責にしてしまうSVがいます。「お客様、先ほどは、私どものオペレータが失礼な発言を致しました。大変申し訳ございません」。いかにも、私は悪くないです、オペレータが悪いのですという言い方になります。
こういう場合は、「先ほどお客様に不快な思いをさせてしまったのは責任者である私の責任です。大変申し訳ございませんでした。今後、このようなことがないよう、オペレータにも教育して参ります」と自責の問題にして、対応する必要があります。
オペレータがミスをしてしまったり、誤案内をしてしまったり、応対でお客様に不快な思いをさせてしまった時、それは、オペレータ自身にも問題がありますが、すべてはSVの責任です。SVの日頃の教育や指導が不足しているからこそ、そうした問題をオペレータは引き起こしてしまうのです。
一方、オペレータに対しては、粘り強く指導していく必要があります。名前は思った以上に人は大切にしていることや、お客様が怒った理由をしっかり理解させていく必要があるのです。
2025年09月20日 00時00分 公開
2025年09月20日 00時00分 更新