コールセンター現場力向上の鍵 即実践できる採用・定着マネジメントの考え方 第2回

2025年8月号 <コールセンター現場力向上の鍵 即実践できる採用・定着マネジメントの考え方>

栗栖俊輔

実践編

第2回

不満は“第一ボタンのズレ”から始まる
採用から整える組織づくり

第2回からは、「採用」「定着」「育成」と時系列で課題と解決策を解説する。まずは、組織づくりの“一丁目一番地”である「採用」に焦点を当てる。採用時に「ズレ」が生じると、育成・配置・定着において、採用側・現場側の両方の不満を招く。自社に合った人材を採用するには、「誰に(ターゲット)」「何を(メッセージ)」「どのように(アプローチ)」の3原則の観点でプロセスを整理することが肝要だ。

PROFILE
リンクアンドモチベーション
EMカンパニー カンパニー長
栗栖俊輔
一貫して採用領域のコンサルティング・アウトソーシングに従事。近年は採用および入社後の定着・活躍支援を行うオンボーディング事業の責任者を経て、2024年より、採用コンサルティング事業の責任者に就任。

 採用は、「欠員補充」の観点のみで実施すると、「せっかく採用ができたのに、組織になじめずすぐに辞めてしまった」「新人がなかなか戦力化せず、受け入れ側の負担が高くなった」といった事象が起こりがちで組織が疲弊しやすい。

 一見すると、マネジメントの課題と捉えられがちだが、真因は「誰を組織に迎え入れるのか」という入り口の設計にある。本来、採用の段階で自社に合った人材を迎え入れることができていれば、その後の問題を大きく減らすことができたはずだ。

一貫して考える
採用、定着、育成

 採用は多くの場合、本社の人事部や部門の担当が行う。例えば、早期離職が発生した際に「現場の育成が悪い」とする採用側と、「採用時の説明や人選が適切でなかった」とする現場側で、責任の所在を巡る不満や「責任のなすり合い」が生じる。これは、採用側と受け入れ部門で責任者が分断されている組織でよく見られる。

 採用を「シャツの第一ボタン」に例えるとわかりやすい。第一ボタンをかけ違えると、入社後の育成・配置・定着にズレが生じてしまう。こうしたズレが生まれないようにするには、採用から定着、育成までを一貫して設計し、そのすべてに責任を持つ存在が欠かせない。そしてその役割としては、受け入れ部門のマネジャーや管理者──コンタクトセンターにおいてはSVが主体的に採用や育成に関わっていくことが重要となるだろう。

 では、どのようにすれば「自社に合った人材」を採用できるだろうか。ここでは、その設計において押さえておきたい3つの視点──「誰に(ターゲット)」「何を(メッセージ)」「どのように(アプローチ)」を紹介する。

・誰に(ターゲット)

 まずは、長く定着・活躍している人の要素をもとに、採用したい人材像を明確にする。その際は「モチベーションタイプ」を考えよう。モチベーションタイプは、「組織タイプ」と「行動タイプ」の2つに分類できる。

 組織タイプとは、人が組織に帰属する際に重視する価値基準や指向性のことで、図1のように、4つの「P」で整理できる。

図1 組織タイプ
図1 組織タイプ

 この観点を踏まえて「どのような価値基準を持つ人材か」を明確にしたい。なお、「Privilege(待遇の魅力)」ばかりを重視する人材は、他によい条件が見つかるとすぐに転職を検討してしまうため注意が必要だ。

 一方、行動タイプとは、その人のモチベーションの源泉によって分類される行動特性のことで、次の4つのタイプで整理可能だ(図2)。これを踏まえて「どのような動機付けで行動する人材か」を明確にしたい。例えば、アタックタイプが多くを占める職場にレシーブタイプの人を採用すると、「ここは合わない」と感じて早期離職につながる恐れがある。

図2 行動タイプ
図2 行動タイプ

・何を(メッセージ)

 続いて、メッセージを設計する。その際は、自社の魅力を「4P」の観点で整理し、他社との差別化ポイントを打ち出したい。例えば、次のようなものだ。

Philosophy:他社では業務に対する理解を最重視するが、「理念への共感」を組織として最重視していることを伝える。

People:他社では上長とのコミュニケーションが主となるが、上下関係だけでなく、左右や斜めの関係など、「組織を大事に思う最高の仲間」と働ける環境であることを伝える。

・どのように(アプローチ)

 ここでは、面接において「応募者との相性」を見極めるための進め方を伝える。

①頭出し
 頭出しでは、いきなり本題に入るのではなく、まずは応募者の緊張を和らげ、話しやすい雰囲気をつくることが大切だ。「今日はお互いを知る場にしたいと思っています」といった一言を添えるだけでも、応募者の本音を引き出しやすくなる。

②ヒアリング
 ヒアリングでは、経歴やスキルだけでなく、応募者の価値観や動機を把握したい。有効なのは、「周囲から、どのような人だと言われることが多い」「これまでの人生で、もっともやり遂げたと感じた経験は?」といった質問だ。

③クロージング
 面接の最後は、応募者の疑問や不安を取り除き、相互理解と納得感のある終結を図ることが大切だ。単に「質問はありますか?」と聞くのではなく、「小さなことでも構いませんので、何か気になったことはありませんか?」と質問をして、できるだけ疑問を残さないようにしたい。

 採用はリソース補充ではなく、理念に共感する「仲間」を迎えるプロセスだ。マネージャーの皆様は、「採用」を組織づくりの“一丁目一番地”と捉えて実施し、ぜひ組織を良くしていただきたい。次回は、採用した人材を定着・活躍させるうえで重要な「オンボーディング」について紹介する。

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会員限定2025年07月20日 00時00分 公開

2025年07月20日 00時00分 更新

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