コラム
第4回
電話応対ではもちろんのこと、ビジネスで話す場合の表現力の面でも、「声の大小」は非常に重要な要素です。
周りに配慮しすぎ、「大きな声で話してはいけない」という思い込みから、小さな声で話すことで、間違った発声をしている方が多くいらっしゃいます。
長時間話すといつも喉が痛くなる。勤務をしていて声がだんだん出にくくなってきたという方は、要注意です。本来ならば、どんなに長時間喋っても正しい発声法であれば、喉が痛くなることはありません。「痩せるだけ(笑)」です。
無理な力みや緊張で小さな声を出す際に、喉や声帯に過度な力を入れてしまうと、筋肉や声帯に負担がかかり、痛みや違和感を感じることがあります。さらにそれが長期化するとポリープになる方もいらっしゃいます。
まず、マスターしていただきたいのが「小さな声でも説得力のある発声法」です。これは電話応対の必須のスキルです。この発声法を身に付けるトレーニング方法を紹介します。
まず録音を行います。実際に声を出して練習し、自分の声を録音して確認すると、改善点が見つかります。非常に聞き取りにくかったりかすれていたり、声が安定していない方は、腹式発声という正しい声の出し方ができていない可能性が高いです。
次に、腹式発声で話すことを意識します。「腹式発声は大きい声が出る」と思い込んでいる方もいらっしゃいますが、まったく違います。小さい声で聞き取りやすい声で話すには、腹式発声のまま「吐く息の量を減らすこと」がポイントです。声量は「吐く息の量」でコントロールできます。正しい腹式発声のまま、話す時の吐く息の量を減らすと、クリアで聞き取りやすい声になります。動画で、声量をコントロールする練習方法を紹介しています。
小さい声ほど、滑舌や明瞭な発音が重要になります。声のボリュームを抑えつつも発音が良いと、相手にはクリアに聴こえ、伝わりやすくなります。以前も書きましたが、「単語の頭で息を吐く」ことがカギです。
「“みな”さん」「“こん”にちは」と、単語の頭で息を吐きながら強めに発音する。長めの文章の場合、2〜7音で息を吐くとことばがはっきりと綺麗に聞こえます。
最後に、感情表現を意識しましょう。大きな声は情熱や興奮、強い意志を伝えるのに適しています。そして聞き手の注意を引きつけ、感情を高める効果があります。一方、小さな声は静かさや親密さ、真剣さを表現するのに効果的です。小さな声は聞き手に集中させ、共感や親密さを生み出します。自然な表現力を身につけるには、場面に応じた適切な声の調整を意識することが必要です。場面や相手に応じて使い分けられると相手の興味関心を引きつけられ、より説得力が増します。
声の大小を自在に使い分けるためには、練習と経験が必要です。実際に録音してみると自分で思っているよりも、かなりオーバーに表現しないと声の大小という使い分けができていないことに気がつくはずです。
2025年05月20日 00時00分 公開
2025年05月20日 00時00分 更新