Part.1 <提言>
自己解決を促し呼量を低減させる。この目標に向かって目下、ナレッジ(FAQ)整備に取り組んでいるコンタクトセンターは多い。生成AIに対する期待は高いが、有効活用する前提は「CX向上」──顧客が使いたくなるユーザビリティの高いFAQサイトが条件だ。呼量削減だけを見据えた生成AI活用では、CXが低下し、ロイヤルティ低下と呼量増を招きかねない。ポイントを整理する。
生成AIが登場したことで、セルフサポートの強化に取り組むコンタクトセンター運営企業が増えている。
ただし、生成AIは“魔法の箱”ではない。CX(顧客体験)を向上したうえで自己解決を促進するには、具体的なゴールを明確にしたうえ、綿密な設計と、生成AIの特性や限界を理解し使いこなせる人材を育成することが不可欠だ。
FAQサイトの構築や改善にかかる労力の多くが、生成AIによって大幅に削減できる。具体的には、生成AIを、(1)ユーザビリティの向上、(2)メンテナンスの負荷軽減と高度化に活用する、という2つの取り組みだ(図1)。
近い将来、ユーザーの過去の行動やプロファイル情報を基に、よりパーソナライズされた回答を提示するFAQサイトも増えていくだろう。
トラブル発生→FAQ公開を高速化
生成AI活用で“初期消火”を実現
独自開発のチャットボットでナレッジを強化
最小限の労力でFAQの精度を向上
Part.2 <セルフチェック>
「生成AIの登場をきっかけに、FAQの見直しを図るコンタクトセンターが増えた」──FAQソリューションを開発、提供するITベンダー各社は、こう口を揃える。従来、見直しの必要性は理解しつつも、その負荷の高さで手が回らないケースも多かった。Part.2では、読者アンケートの回答結果を基に現状や課題を検証、同時にFAQサイトの構築に必要なポイントをまとめた「チェックリスト」をまとめる。
Part.2では、編集部で実施したアンケート(実施期間:2025年1月10日〜31日、有効回答数33件)の結果を検証するとともに、識者の提言や先進事例の取り組みをもとに作成した運用アセスメントのためのチェックリストを紹介する。
FAQに対する生成AI活用について聞いた結果が、「FAQの自動生成に活用している」が38%で、「FAQのもととなる応対履歴の自動生成などに活用している」が62%を占めた。本アンケートは、「FAQの生成AI活用について」と題して本誌読者やメールマガジン読者に協力を依頼したため、そもそも活用していないセンターはほとんど回答していないと推察される。言い換えれば、読者やメルマガ購読者という情報感度の高いセンター管理者といえ、33社しか回答が寄せられない点を、今後の“伸びしろ”の予感と捉えるか、それとも「導入意欲がさして高くない」と見るかは判断が難しい。
FAQマネジメントを評価するチェックリストは図2の通り。「顧客視点で構築できているか」「技術的・機能的な充実度」「FAQの効果測定と改善」「生成AIを活用できる環境」「生成AIの活用状況」の5つの視点で、30の評価項目を設けた。
2025年02月20日 00時00分 公開
2025年02月20日 00時00分 更新