JR西日本カスタマーリレーションズ(兵庫県尼崎市、堤 恵理子代表取締役社長、以下JWCR)とELYZA(東京都文京区、曽根岡 侑也代表取締役)は、JWCRのコンタクトセンターにおいて、生成AIを活用したVoC(顧客の声)分析パッケージの実運用を開始した。
今回発表したVoC分析パッケージは、2022年より両社が共同で推進しているDXプロジェクトの一環。コンタクトセンターが抱える課題を生成AIで解決するもので、2023年3月のメール問い合わせの内容要約に続く取り組みだ。
JR西日本カスタマーリレーションズ代表取締役社長の堤 恵理子氏
VoC分析パッケージは、メールの問い合わせの要約データ全件に対して、生成AIを用いてタグとカテゴリを付与し、一律のルールを用いて集計した結果をダッシュボードで可視化する。堤氏は、「パッケージの活用によって、従前は2時間要していた週報の作成業務を30分程度に削減できました」と効果を説明する。また、「輸送障害」など通常の約5~7倍の入電・問い合わせがあり業務がひっ迫する非常時においても、応対履歴を自動的に集計・可視化することで業務負荷を軽減し、これまでは困難だったトピックの深掘り分析も実現。対策・対応・情報発信の工夫に生かしやすくなったことを導入効果として挙げた。また、コンタクトセンターにおいても、オペレータに対し、「この問い合わせが増えている」「このプレスの反響は大きい」といった周知を行い、事前に資料を確認しておくなどの応対への備えができるようになったという。
図1 『VoC分析パッケージ』の流れ
ELYZAからは、本取り組みの発表に加え、今後のビジネス展望が示された。曽根岡氏は、「VoC分析のゴールはアクションですので、可視化・傾向分析にとどまらず、いま起きている現象の真因を特定し、さらに改善施策を考えるところまでカバーするツールを”最終型”として描いています」と展望を述べ、生成AIで事象の真因分析や改善施策の仮説出しのサポートを行う「VoC分析AIアプリ」の提供に向け準備中であることを明かした。
ELYZA代表取締役の曽根岡 侑也氏
図2 ELYZAが描く生成AIを用いたVoC分析AIアプリケーション
さらに、今回発表したVOC分析パッケージと、対話要約、返信案自動生成を包括して提供予定のコンタクトセンター向けLLMプロダクト『ELYZA for Contact Center(名称仮)』の概要も発表した。「これまでコンタクトセンター領域でのユースケースから得た知見を集約したプロダクトとしてより多くの企業に届けることを目指しています。オペレータ業務をサポートして効率化、高度化を支援し、コンタクトセンターの付加価値を高めることに寄与したい」(曽根岡氏)。2025年中の提供開始を目指している。
図3 コンタクトセンター向けLLMプロダクトの概要
2024年12月04日 12時00分 公開
2024年12月04日 12時00分 更新