問い合わせ窓口格付け調査──証券業界
証券業界の格付け調査は、昨年に引き続き非常に高評価。Webサポート・有人窓口ともに、3ツ星企業11社、2ツ星企業1社となった。証券業界は新NISAの開始とともに問い合わせが急増しており、本来であれば対応の遅れなどが懸念される。しかし、実際には他業界を超える評価を得ており、各社ともWeb・有人窓口で綿密な準備・体制構築をしていると推察される。
HDI-Japanは、2024年9月、証券業界の公開格付け調査を行った。
今回は「口座開設方法や取扱商品・サービスなど、取り引きを検討する際の問い合わせ」という前提で実施。調査にあたっては、専門審査員、一般審査員のべ122人が証券会社各社のWebページを確認し、また、それぞれの窓口に問い合わせた。そのうえで、Webサポート5項目を評価。さらに、問い合わせ窓口のパフォーマンス5項目、クオリティ5項目の評価を行っている。
Webサポートは、3ツ星11社、2ツ星1社という結果で、1ツ星、星なしは該当がなかった。証券業界は、2023年全業界平均と比べて、すべての項目が高評価となった。とくに『役立度/解決度』『センターとの連携度』が大きく上回っている。
Webサポートで高評価のところは、セルフヘルプの選択肢が充実し情報収集しやすく、思わぬ発見や新しい興味が生まれることがある。FAQや動画を活用することで投資の理解を深めることができ、関連情報の提供もあるので自己解決しやすい。また、Webから支援サポート(有人サポート)への導線が明確で、さらにコンタクトセンターでは担当者がWebを活用したサポートを提供しており、よく連携できている。
一方、評価が伸び悩んだところは、情報量やセルフヘルプの選択肢が十分ではなく、疑問が解決しにくい傾向がある。
問い合わせ対応は、3ツ星11社、2ツ星1社という結果で、1ツ星、星なしは該当がなかった。証券業界は、2023年全業界平均と比べて、すべての項目が上回っている。とくにクオリティでは『対応スキル』『困難な対応』、パフォーマンスでは『放棄率』が高評価である。
クオリティで高評価のところは、オープニングから前向きさが十分に表れているので顧客は話しやすい。顧客の話をよく聞き、適宜かみ砕いて説明をするなど臨機応変な対応でプロフェッショナルらしい。また、顧客の反応を気にかけ、質問や要望を丁寧に受け止めて親身に対応しているので、自然と心理的な距離が縮まっている。一方、評価が伸び悩んだところは、顧客の質問に対して一問一答で回答しニーズの掘り下げには至らず、消極的な対応にとどまっている。
パフォーマンスはすべての企業が高評価であった。速やかに担当者につながり、聞きたいことが次々と湧いてくるような、顧客を惹きつけるサポートである。協力的で顧客の問い合わせの目的や背景を進んで確認しているので、的を射た説明で素早い解決につながっている。さらに、質問に関連する情報も積極的に提供し、先回りしたサポートとなっている。顧客は一度の問い合わせで想像以上に理解を深めることができ、満足度が高く利用を検討したくなる。
2024年11月20日 00時00分 公開
2024年11月20日 00時00分 更新