コラム
第152回
最近、オンラインで商品を購入する機会が増え、オンラインで購入できる商品についても店舗でサポートが受けられることで、より安心感が増すという顧客体験が増えています。今年、家内に頼まれてセラミックの包丁をメーカーのサイトで購入しましたが、柔らかい野菜や肉がよく切れるので重宝しています。箱や説明書は、包丁に特別な使用方法などないと思い込んで、記載内容をよく読まずに捨ててしまいました。しかし、最近、子供が硬いカボチャを切ろうとしたら刃が欠けてしまい、やむを得ず捨てました。メーカーのサイトをよく読むと、硬いものは切ってはならないとの記載がありました。後日、デパートの包丁売り場で同じ商品をみつけたので再度購入することにしました。するとデパートの店員は「セラミック包丁はカボチャなどの固いものは切ってはならない」ことに加え、「この包丁は刃が壊れた時に一回まで返品交換ができるので箱を捨てないでください」と親切に教えてくれました。インターネットで商品を購入する際は、基本的に自己責任となりますので、箱も包丁も捨ててしまった後はどうしようもありません。しかし、このようなことがあると、やはり有人サポートの大切さを実感します。
今年も、私が普段使うスマートフォンのメーカーの新商品発表があり、予告された日時にパソコンやタブレット端末など複数デバイスで同社の通販サイトを表示し、事前に決めていた商品を購入しました。急いで注文を終えなければ納期が遅くなるので、複数の商品を慌てて短時間で注文したところ、オプションのサイズを間違ったり、下取りの設定をし忘れたりしました。同社の通販サイトの発注の仕組みは、顧客の負荷が減るように毎年改善されているのですが、アクセス集中への対策なのか新商品を予告なしに突然発売開始するなど、顧客視点ではないと感じるときがあります。
後日、家から最も近い新宿の店舗に行くと、店員は私が苦労して購入したことに対して共感の言葉や感謝の気持ちを伝え、私がインターネットで購入したときの情報をすべて確認したうえで、対応方法を教えてくれました。「後からでも下取りの手続きができること」「誤って購入したオプションについては、開封後でも商品交換ができること」を教えてくれただけではなく、他の店舗の在庫状況を調べて、「表参道店に行けば、当日でも交換可能である」旨を教えてくれました。
インターネットでオンライン購入する機会が増えると、今まで一つひとつ注意深く確認して購入していた顧客も、重要な事項を確認しないまま購入してしまう機会が増えます。顧客は誤って注文をしたことを購入後に気づくことが多いです。注意事項が記載されていることや確認事項のチェックがなされていることを伝え、顧客の過失を指摘することは可能ですし顧客も納得すると思いますが、顧客の気持ちを掴むことはできません。そのような顧客のミスを有人サポートで寄り添い、未然に防ぎ、事後にカバーすることで、顧客はその企業を信頼し感動してファンになるのでしょう。
2024年11月20日 00時00分 公開
2024年11月20日 00時00分 更新