<現地ルポ> 富山センター視察&勉強会を開催(コンタクトセンター・アワード事務局)

6月13日、コールセンタージャパン編集部とイー・パートナーズは、能登半島地震復旧復興支援を兼ねたイベント、「コンタクトセンターアワード 富山センター視察&勉強会」を開催した。北陸地方では初開催ということもあり、会場となったプレステージ・インターナショナル富山BPOタウン(富山県射水市)には、全国から約40名が参加した。

冒頭、事務局を務めるイー・パートナーズ代表の谷口 修氏が、コンタクトセンターアワードについての説明の後、「北陸の魅力と災害対策」について解説。拠点進出をする際に、評価すべき項目についてまとめた(下図)。

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福井ではコンタクトセンターは有利

続いて、福井県福井市にコンタクトセンターを設けるアクサ損害保険の藪 恵福井センター長兼福井コンタクトセンター部部長が登壇。「マルチサイトセンターの運用と『福井・北陸』のストロングポイント」と題し、BCPの重要性を含めて解説した。

アクサ損害保険の藪 恵福井センター長兼福井コンタクトセンター部部長

 

福井県にセンターを開設したのは2004年。開設の理由については、コンタクトセンターが少ない、女性の社会進出に自治体が積極的なことなどを挙げた。藪氏は「福井県は共働き率が高い県だが、工場などの仕事が多い。女性が希望する傾向が強い事務職が少ないため、コンタクトセンターの進出先としては有利」と強調。実際、福井センターは約300名が就業するまでに拠点が拡大しており、藪氏も開設時に採用されたメンバーの1人で、キャリアパスが機能していることがわかる。

 

同社のBCP対策としては、サーバーの分散設置や安否確認システム、リモートワークの導入などを紹介。同社は福井以外にも、高知(高知県)、旭川(北海道)の3拠点でセンターを運営しているが、業務内容はほぼ同じという「ミラーサイト運営」を取る。このモデルは、業務が属人化されるのを最低限に抑える利点がある。さらに大きな特徴として、各拠点長が3拠点を横断して、固有の業務分野を担当する「マトリクスマネジメント体制」を敷いている(写真)。まだ着手して日が浅い取り組みだが、生産性の向上や災害時のバックアップ業務にも大きな効果が期待できるとしている。

人材獲得については、「親世代の理解は絶対に欠かせない」(藪氏)と強調。そこで、「メディアへの露出は大きな訴求になるため欠かせない。また、地域イベントの主催などを通して当社を知ってもらう取り組みも進めている」という。

被災者視点で見るBCPの要点

北陸で実施した本セミナーは、「能登半島地震復興支援」という位置付けを持たせた。そこで、ほくりくみらい基金の野水克也理事を招聘し、被災体験について話を聞いた。野水氏は、サイボウズでフェローを務めつつ、輪島市の古民家を改修しつつ住居としていた。震災時はその自宅で被災。被災者でありながら、現在は支援者としても現地で活動している。

講演では、被災の状況を説明しつつ、復興状況を詳細に説明。報道されていない復興の状況や、被害状況を円滑に収集できないなど、電子化が遅れている行政に関する課題なども体験に基づいてわかりやすく解説。人々の記憶が薄れていくことへ警笛を鳴らす場面もあった。

ほくりくみらい基金の野水克也理事

「BCPにおける盲点」として、被災後、1週間ほどで深刻化した下水処理に関する問題を指摘。下水処理設備が被害を受け、トイレが使えなくなり、その状況は多くの地域で現在も続いているという。「コンタクトセンターでは、いかに応対を止めないかに目が向くと思うが、排せつの処理については見逃しやすい。女性が多い職場なだけに深刻になるのでは。凝固剤の確保など、今からできることは、はじめた方がよい。甚大な被害の発生や、避難が長期化することも想定すべき」と、アドバイスした。

なお、本事務局では、今回のセミナー開催の趣旨に基づき、ほくりくみらい基金に寄付も実施した。

 

長く働き続けたい場所"を具現化した拠点

第2部として、プレステージ・インターナショナル富山BPOタウンの見学会を実施。執行役員も務める澤田石 大介拠点長が、2015年4月に設立された同拠点を詳細に紹介した。

約1000席規模で、自動車関連のオートモーティブ事業を中心にロードアシスト、事故受け付けなどを担っている。震災当時も運営されていたが、事前に災害時は業務を分散する取り決めがあり、当時も揺れが落ち着くまでの数時間は他拠点に対応を委ねたという。

 

「従業員にとって、長く働き続けたい場所」であるための工夫は、設備面にも顕著に出ている。

広い通路には、長椅子が豊富に置かれ、談笑するスタッフの姿も見られた。また従業員は、20~30代の女性が中心なことにも配慮し、ライフスタイルの変化に対応できるよう2つの保育園を設置。

 

業務の性質上、24時間稼働する部門もある。そのため、何時もスタッフに快適さを提供したいと、従業員用の駐車場をはじめ、カフェテリアや人気のカフェショップのメニューなども用意している。

 

なお、プレステージ・インターナショナルは富山BPOタウンについて、「比較的高台に位置しているため、今回の震災発生時に拠点に向かって避難する方もいた。それを鑑みて今後は、地域の方々も避難できるような環境を検討する必要性を感じている」と、今後の展望を語っている。

 

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2024年06月18日 18時21分 公開

2024年06月18日 18時21分 更新

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