コラム
第111回
バイクの運転免許を持っていないのに、ハーレーダビッドソンの動画を毎晩見て、時々販売店に実物を眺めに行っている人は、ロイヤルティが高いファンと言えるのか、について勉強会で議論した、わたちゃんです。
ロイヤルティという言葉は近年、頻繁に使われるようになりました。企業の方とロイヤルティの議論をすると、視点が大きく3つあることに気づきます。
◆経済ロイヤルティ
顧客と企業の取引量や回数で定義されるロイヤルティ。収益マネジメント上で重要な定義です。
◆心理ロイヤルティ
顧客から見た企業への気持ちで定義されるロイヤルティ。ファンづくりにおいては、お客様の気持ちが重要であり、最も重要視されるロイヤルティです。
◆行動ロイヤルティ
顧客との接点(タッチポイント)の回数や質で定義されるロイヤルティ。心理ロイヤルティや経済ロイヤルティに影響を与える重要な指標となります。一般的に言われているCX(カスタマーエクスペリエンス)施策は、この行動ロイヤルティを向上させるための取り組みと解釈できます。
これらの3つのロイヤルティの特徴に基づいてロイヤルティの定義をしました。
◆ブランドや商品に対するロイヤルティの定義
ブランドや商品に対して、信頼や愛着をもって末永く関係行動し続けたいと思う気持ち。
*関係行動とは、自分の時間やお金を費やしてブランドや商品に関わる行動を実施すること
ファンづくりの重要な要素であるロイヤルティは、3つの観点から最重要とされる心理ロイヤルティ、つまりお客様の気持ちで定義され、それに影響を与える行動ロイヤルティは関係行動という言葉で表現されます。
さらに重要な点は、経済ロイヤルティに直結する購買が、多くの関係行動の中の1つであり、購買行動も心理ロイヤルティ、すなわちお客様の気持ちを向上させるための行動の一つとして定義されていることです。
実業の現場では、日々の収益獲得が重要であり、経済ロイヤルティ、つまり収益主導のマネジメントが主となることが現実です。しかし、ファンづくりの原点に立ち返る際には、このロイヤルティの定義が非常に有効であることがわかります。
ということで、免許を持っていないハーレーダビッドソンマニアは、本定義によると現時点では購買という関係行動には至っていないが、非常に高いロイヤルティのファンであることが理解できました。
2024年04月20日 00時00分 公開
2024年04月20日 00時00分 更新