実践編
第25回
2024年から開始された「新NISA」は広く話題となった。金融商材はシニア層の関心事であり、昨年までの旧NISAの口座数では60歳以上のシニア世代が全体の34%を占めている状況だ。今回はシニアの関心が高い金融業界のうち証券会社に焦点をあて、Webサイトの利用しやすさやコンタクトセンターへの誘導方法を考察する。
2024年に入り新たにスタートした「新NISA」は、新聞やネットニュースなどで見かけない日がないほど、さまざまなメディアが取り上げており、大きな話題となっている。主要証券会社19社の1月末時点のNISA口座数は合計で約1530万口座となり、直近3カ月間の開設ペースは平均の2倍に達し、増加分の9割をネット証券が占めている(※日本経済新聞 2024年2月13日付)。
金融庁の調査によると、日本の個人金融資産は昨年末時点で2100兆円を超え、60歳以上のシニア世代保有比率は、全体の6割を超えているとみられる。「人生100年時代」といわれる中、政府が促す「貯蓄から投資」の進展にはシニア世代の動向も大きく焦点になると考えられる。
急拡大する新NISAブームの中でシニア層は、手数料の安さや窓口手続きなしの簡易さからネット証券会社を選択することも多くなっている。このことからも、ネット証券会社のサイトはシニア層が利用することも想定して、シニア対応を行うことが必要だろう。
新NISAには、厳選された投資信託から選んで積み立てる「つみたて投資枠(つみたてNISA)」と、株式、債券、投資信託などから選んで一括または分割購入する「成長投資枠(一般NISA)」の2種類がある。年代別NISA口座開設状況を見ると、若年層はコツコツと資産を増やしていけるつみたてNISAを選択する傾向が強く、シニア世代は資産運用・管理を中心とする一般NISA口座を選択する傾向にあった。まとまった資金があり、残りの人生が限られているので、資産管理を行いながら実質的に資産を減らさないという発想になる(図)。そのため、Webサイト上には資産形成の目的や用途、投資金額や期間が明確であることが重要になってくる(出典:日本証券業協会「NISA口座開設・利用状況調査結果」)。
検索すると、各社ランディングページへ誘導していることが多くある。しかし、サービスの特性上、ランディングページだけで完結せず、より詳しいサイトコンテンツへ誘導するケースが見られた。誘導先に行くと、問い合わせ先の案内が見られ、チャットサポートの導入も進んでいた。しかしながら、サポートへの対応日時、ナビダイヤルの告知などシニアが知りたい情報は、文字が小さかったり、表示されなかったりするケースが多く見られた。とくにナビダイヤルへ携帯電話でかける場合、高額になる印象が強く、警戒されるケースがあるようだ。携帯キャリアの提供する「シニア割引 かけ放題」などの定額電話サービスに加入している方も多いので、一般電話番号の表記もしっかりと行うべきだ。
会員限定2024年04月20日 00時00分 公開
2024年04月20日 00時00分 更新