コラム
第9回
言葉選びと伝える順序で心づかいを表そう
皆さんの職場では、お客様をお迎えしたとき、そしてお見送りするときは何と声をかけていらっしゃるでしょうか。
感謝の気持ちを相手に伝えるときは、言葉の選び方だけでなく、伝える順序も大きく作用します。日本航空では、出発ロビーのカウンターにチェックインしにいらっしゃったお客さまへの第一声は、「いらっしゃいませ」ではなく、「いつも日本航空をご利用くださいまして、ありがとうございます」とお迎えするよう指導しています。
そのタイミングであれば、確実にお客さまの顔を正面から見た状態で「ありがとうございます」という感謝の気持ちを伝えられるからです。
急いでいるお客さまは、手続きを終えるや否や、踵を返してその場を離れようとするでしょう。そのようなお客さまに、手続きを終えたこのタイミングで「ありがとうございます。いってらっしゃいませ」と感謝の気持ちを伝えても、お客様の顔は半分以上、先を向いてしまっている可能性があります。せっかくご利用いただいたお客さまに、しっかりアイコンタクトして感謝の気持ちをお伝えするよう、お迎えするときの「ありがとうございます」が大切なのです。
これは、コンビニでもスーパーマーケットでも、あるいは家電量販店でも、すべてのサービス業で同じことが言えます。お客さまをお迎えしたときに、「いらっしゃいませ」に続けて、「いつもありがとうございます」とつけ加えるだけで心づかいを表せるのです。
ビジネスの場でも同じです。商談がうまくいこうが不調に終わろうが、その日、相手の貴重な時間をいただいたことは事実ですから、それに対する感謝の気持ちをまずお伝えしたいところです。
「本日は、貴重なお時間をいただき、ありがとうございます」と言ってから、応接室や会議室の椅子に座っていただく。その第一声が相手への心づかいになるのです。
先に感謝の気持ちをお伝えできれば、自分も気持ちよく商談に臨むことができます。相手もその気持ちを汲み取り、同様に気持ちよく話し合いの場に身を置くことになるでしょう。
感謝の気持ちは、相手に伝わらなければ意味がありません。
だからこそ、最後の機内アナウンスでご搭乗いただいたことに感謝の気持ちを表現するときも、私は「今日は、日本航空をご利用いただきありがとうございました」ではなく、「今日も、日本航空をご利用いただきありがとうございました」とお伝えしていました。助詞の「は」と「も」だけの違いですが、いつものご愛顧に感謝しているニュアンスは各段に違ってきます。
「本日はご利用ありがとうございます」
「いつもご利用ありがとうございます」
いかがでしょうか。皆さんの「お客さまへの声掛け」も工夫していただき、より深い感謝を表現していただきたいと思います。
2024年01月20日 01時04分 公開
2024年01月20日 01時04分 更新
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