わたちゃんのかすたま~えくすぺりえんす 第102回

2023年8月号 <わたちゃんのかすたま〜えくすぺりえんす>

わたちゃん

<著者プロフィール>
職業:顧客経験価値にこだわる戦略立案&業務改革コンサルタント
過去勤めたことのある企業:日本ユニシス、日本IBM、日本テレネット
週末の過ごし方:
<ケース1>隅田川あたりをぶらぶら散歩して浅草で飲んだくれたあと銭湯で汗を流す
<ケース2>スポーツジムでヨガレッスンを受けて汗を流す
最近の悩み:昔は痩せの大食いだったのが、最近は小食の小太りになっていること

「社会課題解決型ビジネス」の成功要因を探る

ISラボ 代表 渡部弘毅

 家から歩いて3分のスポーツジムが2カ月後に閉店することになり困っている、わたちゃんです。お気に入りの先生のヨガとエアロビのレッスンに行けなくなるのはもちろんのこと、毎日夕方、銭湯のようにサウナ&風呂に通うライフスタイルが途絶えると思うと、人生の喪失感が激しくて残念でなりません。代替案を考える必要があります。

 現代社会にはさまざまな課題が存在します。それは、環境問題や貧困だけでなく、高齢化社会とその支援インフラの維持も含まれます。社会課題解決型事業は、これらの問題をビジネスという形で解決しようと試みています。

 スポーツジムの事業は、その一例と言えるでしょう。とくにシニア世代の人たちにとっては、健康増進だけでなく、コミュニティの場としての役割も果たしています。毎日通うライフスタイルの一部となっており、介護施設や医療施設と同等の社会インフラとも言えます。

 しかし、企業の論理からすると、収益向上が見込めない、設備インフラの維持にコストがかかり過ぎるという理由で撤退したり、若い世代が住むエリアへの移転を進めることもあります。ここで重要なのが、事業継続の厳しさと社会に対する貢献のバランスです。これをうまく取り扱うことが、社会課題解決型事業のカギとなります。では、どのようにすればよいのでしょうか。

 ひとつは、地域との協働です。地方自治体やNPOと協力し、地域に根ざした事業を展開することで、より深い信頼関係と共生を築くことができます。とくにシニア世代の利用者が増え、定着することにも繋がります。

 もうひとつは、事業モデルの工夫です。例えば、ジムを利用するシニア世代向けの特別なプログラムを開発し、その費用を高めに設定することで収益を確保します。その一方で、若い世代へも適切な価格で提供し、幅広い世代が通うことができる場を創出します。

 最後が、社会的な価値の共有です。スポーツジムがシニア世代にとって重要な社会インフラであることを広く伝え、理解を深めてもらうことです。

 これらの取り組みにより、社会課題解決型事業は、ビジネスとしての収益を確保しながらも、社会にとって必要な価値を提供し続けます。社会と共に成長し、共に未来を築いていく魅力的な事業です。

 ということで、僕のジムもこの3つの要因をもっと真剣に考えれば、よりよい解が見つかると思います。とくに地域のシニアニーズを取り込んだ事業モデルはいくらでも考えられるはずですが、現状は本社が一括提供する標準サービスしかありません。「私に店長をやらせて!」とお願いしたいところですが、相手は大企業。決定は覆らないので、新しいジムの検討に入りました。若い人が多く住む地域で、ホットヨガのレッスンも充実しているジムを検討していると、「新しいライフスタイルもいいかな」とか少しウキウキしている自分に気がつきました。なるほど!今のジムはこれが原因で撤退決めたのかなあ。

図 社会課題解決事業の成功要因

図 社会課題解決事業の成功要因

 

2024年01月31日 18時11分 公開

2023年07月20日 00時00分 更新

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