<著者プロフィール>
職業:顧客経験価値にこだわる戦略立案&業務改革コンサルタント
過去勤めたことのある企業:日本ユニシス、日本IBM、日本テレネット
週末の過ごし方:
<ケース1>隅田川あたりをぶらぶら散歩して浅草で飲んだくれたあと銭湯で汗を流す
<ケース2>スポーツジムでヨガレッスンを受けて汗を流す
最近の悩み:昔は痩せの大食いだったのが、最近は小食の小太りになっていること
「副業」から「複業」へと変わる新しい働き方
ISラボ 代表 渡部弘毅
近所に住んでいる娘が今年4月から復職して、週の半分近く保育園へ孫のお迎えに行っている、わたちゃんです。これ以外にも、リモートワークで比較的時間に融通が利く身であるために、高頻度で駆り出されてしまうのです。最近の自己紹介は「本業は孫の世話で、副業でコンサルタントしています」です。
働き方改革が進むにつれ、企業の副業制度が広まり、さらなるリモートワークの浸透により、複数の仕事を掛け持ちする「複業」が注目されています。1社をメインの従業先としたサイドジョブとしての「副業」ではなく、フリーランサーとして複数社と契約した仕事や自分の事業を含めた「複業」という働き方です。
背景には、企業サイドの事情としては「従業員を正社員かつ終身雇用で雇い続けるリスクを回避したい」「必要なときに必要なスキルを持つ要員をアサインしたい」というニーズがあります。コロナ後、正社員として雇用を抱えるリスクが増大したと考える企業も少なくないはずです。一方、働き手サイドの理由としては、自分のスキルを活かして興味のある仕事に専念してストレスなく働きたい、リモート環境を駆使して働く場所も時間も自由に選択したい、といったニーズがあります。
また、こうした働く側の考えは若い世代特有の考え方ではなく、企業内である程度実績を踏んだミドル層の中にも増えているようです。人生100年時代を迎えて、60歳前後の「定年」の先がどうなるのか、自分や家族の人生を考えると「ひとつの会社にいるのはむしろリスクが高いのでは」といった価値観が広がっています。これは、収入を増やしたいというより、家族が安定して楽しく暮らしていくために複業を選択するということです。
しかしながら、こうした複業に取り組む際には、社会で通用する専門スキルを備えていることはもちろん、企業の求めるスキルと自分の持っているスキルをすり合わせるコミュニケーション能力が必要となります。また、成果にコミットする能力も必要です。今の組織のポジションと年収を捨てるリスクを抱えて新しい働き方にチャレンジするという覚悟がいるということです。
働き方改革が叫ばれる今、企業には従業員を大事にし、「副業」も認めて待遇面や仕事に対するモチベーションを上げる施策を打ち出すといった会社に対するエンゲージメントを高める姿勢が求められる一方で、「複業」を選択したスペシャリストを外部から登用するなど、多様性にも対応していく必要があります。働き手としての個人も、どんな人生設計の中で仕事を位置付けるかという選択を迫られているのではないでしょうか。
ということで、僕も早速、孫の世話の複業化を目指さなくては。そのためには孫の世話でお金を稼げる状態にするべく、早速、娘に請求してみよう……って、やっぱり僕には複業化は厳しそうです。
図 副業と複業 どちらが自分の働き方に合っているか?
2024年01月31日 18時11分 公開
2021年05月20日 00時00分 更新