2021年10月号 <ボイストレーニング・ワンポイントレッスン>

Voice Training Onepoint Lesson

<著者プロフィール>
ビジネスボイストレーニングスクール「ビジヴォ」代表。「声」「話し方」に問題を抱えるビジネスパーソンを4万人指導。250社の企業研修を行う。音楽家ならではの聴力と技術を駆使した、「超絶対音感」によるボイストレーニングが話題を呼び、TVなど多数出演。著書に、『年収の9割は声で決まる! 「できる人」だけが知っている声の出し方』『話し方トレーニング』『「話し方」に自信がもてる 1分間声トレ』

読むだけで滑舌がよくなるフレーズ集

秋竹朋子

 マスク必須、普段から大きな声で会話がしにくい昨今、「声が出しにくい」「滑舌が悪くなった」などのお悩みをよく耳にするようになりました。

 自分で使う言葉を選ぶ日常会話では、苦手な言葉・発音を無意識のうちに避けてしまいがちです。これでは、舌が怠けてしまい、滑舌が悪くなるのも仕方ありません。しかし、逆説的に言うと、苦手な言葉から逃げなければ、それだけで滑舌がよくなるということです。

 子供のころ、国語の授業で音読や朗読の練習をした経験はないでしょうか。このように、決まった言葉や文章を繰り返し読みこなすことは、舌のトレーニングにもなるのです。

 そこで、日本人に苦手な人が多い「サ行・パ行・バ行」に着目して、あえて読みにくい文章を用意しました。読むだけで滑舌がよくなるフレーズ集です。はじめはゆっくりでもいいので正確に発音し、慣れてきたら、少しずつスピードをあげていきましょう。

 敬語表現など、ビジネス会話にも多く使われる「サ行」は、流暢に使いこなすことで、信頼感や説得力のアップにもつながります。しかし、逆にうまく発音できないと、だらしなく危なっかしい印象になることがあります。上歯茎の裏と舌先の隙間に、息を通したときに生じる「摩擦音」からなるサ行は、吐き出す息の瞬発力が重要。加齢によって言いづらくなることもあり、継続して訓練することが大切です。

 読み上げるだけで、「サ行」の発音がよくなる文章は、次の通りです。

 「佐々木商事で新進気鋭と期待された新入社員が、初年度に出向したシンガポール支店でしくじった。尻拭いをした上層部の上司は、『失敗は成功のもと。君は才能があるから支障なし!』と叱咤激励した。彼は上司を信頼し、真剣に仕事をし続けた。それから3年、新入社員だった彼も昇格人事で上海に出向し、素晴らしい仕事を成功させている」

 次に、「パ行・バ行」についてです。パ・バは、「破裂音」と呼ばれ、その名の通り、閉じた唇を破裂させるように開いて音を出します。パ行は無声破裂音、バ行は有声破裂音という違いはありますが、どちらも子音としては最もパワーを必要とします。とくに、外来語や擬声語で多く使用されますね。表情筋を意識してトレーニングし、パ行とバ行の音で力を入れるように読みましょう。唇に力を入れるため、顔のたるみ防止にもなります。

 読み上げるだけで、「パ行・バ行」に強くなる文章は以下の通りです。

 「部下とブレインストーミングをし、部長一押しのベストプラクティスを共有して、プライオリティーの高い案件をベンダーに任せたいのです」

 「BtoBのこのプロジェクトの進行はバジェット次第ですが、ボトルネックとなっているのはペルソナの細かい設定ではないかと。ゆえに、いわゆるバブル世代のパパ向けパッケージ作りが最もポピュラーな施策であると考えられます」

 読むだけで鍛えられるので、ぜひ繰り返しやってみてください。

2024年01月31日 18時11分 公開

2021年09月20日 00時00分 更新

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