2021年10月号 <特集>

特集扉

増える感染者、正社員しかできない「在宅」
コールセンター実態調査2021

Part.1 <マネジメントとITソリューション>

旺盛な自動化ソリューションへの投資意欲
「呼量削減」「生産性向上」が重点課題

編集部は今年も、「コールセンター実態調査」を実施した。コロナ禍を経て、運営に関する重点課題は「採用・教育」から「呼量削減」にシフト。そのための自動化ソリューションへの高い導入意向も目立つ。マネジメント関連、IT関連の回答の一部と、「在宅」にフォーカスした回答を抜粋、検証する。

 深刻だった採用難はひと段落しているものの、運営課題は「生産性向上」「呼量削減」、今後優先度の高いITソリューションは「チャットボットなどの自動化ソリューション」。今年の「コールセンター実態調査」からは、新型コロナ禍を如実に反映してか、デジタルシフトにさらに突き進む運営企業の姿が垣間見える。

 Part.1では、コールセンターの運営モデル、オペレータの採用状況、放棄呼率(応答率)、運営課題についてまとめる。

図1 今後実施予定の採用に向けた施策(n=144、複数回答あり)

図1 今後実施予定の採用に向けた施策(n=144、複数回答あり)

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Part.2 <在宅シフト>

過半数で感染者・濃厚接触者が発生!
在宅化は進むも目立つ「正社員限定」

一気に進んだように見えるコールセンターの「在宅シフト」。実際に、ほぼ半数のセンターが2021年7月現在も「運用中」と回答している。しかし、在宅勤務しているのは、オペレータ、SV、それ以外の管理者もほとんどは「正社員」が中心で、パートタイマーや派遣、あるいは業務委託先のセンターは“対象外”の企業が多いことが判明した。在宅シフトの現状と課題を整理する。

 一気に進んだかに見える「在宅シフト」。2021年7月現在、回答企業のほぼ半数は在宅コールセンターを「運用中」と回答している。しかし、その実態を聞くと、多くのセンターが「正社員のみ」の運用で、派遣社員、パートタイマー、委託先といったコールセンターの“主力“である労働者は拠点で勤務しているところが多い。実際に60%以上の回答企業で感染者や濃厚接触者が発生している状況でもあり、一刻も早い真の意味での「在宅シフト」が急がれる状況だ。

図2 センター内の感染状況(n=170)

図2 センター内の感染状況(n=170)

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Part.3 <座談会>

最大の阻害要因は「コスト」?!
在宅シフトを阻んだカベと定着への課題

非正規社員に対する経営の「不信感」と「コスト」──在宅シフトができなかったセンターの多くは、結局、この2つの課題を解消できなかった可能性が高い。オペレータの在宅勤務には、ハード面の環境整備に加え、一定レベルのスキルやITリテラシー、モラルなどが欠かせない。コールセンター運営の経験が豊富なコンサルタント3人に、在宅シフトの課題と必要な対策を聞いた。

出席者(順不同)

和泉 祐子 氏

和泉 祐子 氏
カルディアクロス
代表

東峰 ゆか 氏

東峰 ゆか 氏
Me-Rise
代表取締役

寺下 薫 氏

寺下 薫 氏
クリエイトキャリア
代表

──昨年は、多くのコールセンターが、在宅運営を開始しました。しかし、調査結果を見ると、雇用属性や運用形態によって在宅シフトの進み方に偏りがあるようです。どのような背景があると考えられますか。

和泉 アウトソース(委託)しているコールセンターでは、在宅シフトに遅れが生じている印象が強いです。同じ委託モデルでも、委託元のインフラを使うオンサイト運営ならば、ある程度目が行き届くため、オペレータの熟練度やマネジメントのレベルから在宅が可能か否かを見極められますが、拠点が遠方で現場が見えない場合や、丸投げで委託しているケースでは、見極めができないため、在宅シフトが進まないのではと考えます。

東峰 アウトソーサーは、クライアントからの許諾を得られないと在宅シフトはできません。人材派遣を活用している場合も、派遣会社と交渉する必要があります。派遣社員を活用しているアウトソーサーは、クライアントと派遣会社、双方との連携が必要なので在宅シフトは容易ではありません。

寺下 在宅運営は、セキュリティにどうしても不安が残ります。同居する家族がいる場合は、覗き込みを防止するフィルター機能をPCに実装したり、個室を用意するなどの対策が必要です。モラル教育やメモや撮影を禁止するといったルールで、ある程度は防ぐことができます。しかし、不安をゼロにすることは不可能。行動をすべて監視するわけにはいきませんし、最終的にはオペレータを信じるしかない。これはインハウスでも業務委託でも同様の課題ですが、委託の場合は、アウトソーサーとの信頼関係が在宅シフトに大きく影響しますね。

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