2020年7月号 <わたちゃんのかすたま〜えくすぺりえんす>

わたちゃん

エフォートレスか? ヒューマンタッチか?
使い分けの極意

ISラボ 代表 渡部弘毅

 コンサルティングで支援しているアパレルのブランド品を購入する機会の増えた、わたちゃんです。おかげで、ショッピングの楽しみも少しずつ分かるようになってきました。カミさんからは、最近色気づいて怪しいことをしているのでは、と疑われています。

 顧客ロイヤルティを測る指標として、昨今注目されているのがCES(Customer Effort Score)です。顧客に対し、目的が達成(問題解決、購入、利用など)するまでに強いられた「努力」「苦労」をスコア化してもらいます。代表的な質問例は「あなたの要求を満たすために、どの程度の努力が必要でしたか?」で、努力を苦労、不便と言い換えるケースもあります。

 顧客ロイヤルティを測る著名な指標であるNPS(Net Promoter Score)は推奨度を聞き、ロイヤルティが向上する要因追求や施策立案に使われます。CESは、ロイヤルティを下げる要因を見つけ出すことに有効とされています。米国のコンサルティング会社であるCEB社が実施した顧客接点とロイヤルティに関する調査をレポートした書籍「おもてなし幻想」(実業之日本社)では、「顧客に手間や面倒をかけさせないプロセスこそがロイヤルティを高める“おもてなし”のあるべき姿だ」と主張しています。

 しかしながら、お客様との各接点でエフォートレスな体験だけを追求していけばロイヤルティが向上するとは限りません。

 お客様の体験に対する事前期待を考慮する必要があります。例えば、購買体験がストレスに感じているお客様にはエフォートレス体験が有効ですが、ショッピングのプロセスを楽しみたいと考えているお客様には逆効果になるかもしれません。これはお客様の個性の違いもありますが、購買品によっても違ってくるはずです。日用品の追加購買ではエフォートレス体験が有効ですが、イベントの日に着ていこうとしている洋服を購入することは楽しい体験であるはずです。

 コンタクトセンターの場合も同様です。まず、自社のセンターの問い合わせ対応は、エフォートレス提供型かヒューマンタッチ型のどちらがロイヤルティ向上につながるのかを見極めないといけません。業種やビジネスモデルや業務によって異なる全体設計を踏まえたうえで、個々のコールリーズンからお客様の事前期待がエフォートレス型かヒューマンタッチ型かを踏まえての対応が必要です。

 ということで、カミサンには、「自分の心を豊かにするために、今までの洋服の購買体験への事前期待を、ユニクロを中心としたエフォートレス購買体験から、ブランド品のおもてなし購買体験へ変化させたのだ!」と言い訳することにします。無理かなあ。

図 NPS(Net Promoter Score)とCES(Customer Effort Score)

図 NPS(Net Promoter Score)とCES(Customer Effort Score)

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