2020年6月号 <Focus/コールセンター>

Focus

デジタルシフト時代のVOC活動(1)
「よくある間違い」に見る活用の要諦

CXMコンサルティング 代表取締役社長 秋山 紀郎

コンタクトセンターの中心的な役割は顧客の声(VOC)を集め、業務改善を主導することだ。コロナ禍で劇的なデジタルシフトが進行しつつある今、これまで活用できていなかった企業でも、VOCを有効活用できる可能性はむしろ広がる。新時代のVOC活動についてその考え方と手法を2回に分けて検証する。

 新型コロナウイルス感染症の流行により、遅々として進まなかった「働き方改革」のひとつであるテレワークは、日本はおろか全世界で一気に広がりつつある。あらゆる業種において、人との接触がロボットやオンラインに変わっている。事態が終息しても、同じ状態には戻らない。まさに「デジタルシフト」である。この急速に広がるデジタルシフト時代において、どのようにVOCを活用していくべきか、2回に分けて解説したい。

 働き方が変わっても、コンタクトセンターが顧客の声(VOC)の集積部門であることに変化はなく、デジタル情報が集積する知識集約型の拠点と言える。オペレータのパフォーマンス・データから顧客応対の内容まで、ほとんどの業務の情報がデジタル化して保存され、すぐにシステムを用いて活用ができる状態にある。デジタル化された情報はまさにVOCであり、顧客の声が抜け・漏れなく記録されている顧客接点は、コンタクトセンターとWebだけである。

 加えて、消費者側もデジタル化が進んでいる。WebサイトへのアクセスやSNSの利用が広がり、その足跡がデジタルに残されている。企業には、これらデジタル化された情報を有効活用して、顧客に還元するPDCAが求められている。

 昨今、コスト削減や他の業務改善の施策に比べ、VOC活動の成功事例は積極的に公開されている。顧客の声に耳を傾ける経営姿勢は、経営者、顧客、株主、どのステークホルダーにとっても聞こえがよいからだ。しかし、いざ進めてみると、VOC活動は簡単ではなく、成果を出せずに困っているケースも多い。そこで、成功事例でなく、次の5点の「よく見られる間違い」という視点で解説したい。

<1>VOC活動の必要性について、費用対効果で示すようにした。

<2>自社には、顧客からの重要な声が既に集まっているので、分析するだけでも発見があるはずだ。

<3>VOC分析レポートを見ても、何も新しいものがない。

<4>VOC分析を開始して、数日経てば結果が出る。

<5>VOC分析レポートを各部署に送っているので、活用されるはずだ。