2018年8月号 <インタビュー>

鈴木 康弘 氏

「デジタルシフト」の成否を分ける?!
“コールセンター”の位置づけ

デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
鈴木 康弘 氏

孫 正義、鈴木敏文、北尾吉孝。カリスマと言われる経営者のもとで「デジタルシフト」の旗手を務めた鈴木氏は、「日本企業の総Tech企業化」を唱えるとともに、「顧客接点人材の価値」の見直しを提言する。「デジタルではできない接客を実践し、かつ最新の情報をアップデートできる立場にいる顧客接点の人材を重視すべき」と強調した。

Profile

鈴木 康弘 氏(Yasuhiro Suzuki)

デジタルシフトウェーブ 代表取締役社長

1987年、富士通入社、SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年、ソフトバンク入社、99年にネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し代表取締役社長就任。2006年、セブン&アイホールディングス傘下に入る。2014年執行役員CIO就任。グループオムニチャネル戦略のリーダーを経て2015年に取締役執行役員CIO就任。2017年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。

──デジタルシフト、デジタルトランスフォーメーションがキーワード化して長い時間が経過しました。大手量販店やネット企業でその先頭を走っていた立場から、現状をどう捉えていますか。

鈴木 「社会の変化×ITの進化」によって人々(消費者や顧客)が変わってきています。企業を構成する組織も人材も変わる必要があるのは当然です。具体的には、お客様の行動がデジタル化している以上、業種を問わず、すべての企業がTech企業にならないといけないと感じていますが、日本企業の多くは、AmazonやGoogleなど、もはや「経済圏」を確立しつつある外資系企業に比べると立ち遅れている感が否めません。

「総Tech企業化」のすすめ
組織と人材の新しいあり方

──Tech企業化というのは、販売チャネルをネットにシフトするということでしょうか?

鈴木 Amazonがリアル店舗を展開しはじめたことを見てもわかるように、ネット化がすべてというわけではありません。カスタマー・ファースト、つまり顧客を中心としたさまざまなコラボレーションをITを活用して実現する、それが「Tech企業」の意味することろです。例えばオムニチャネル展開もそのひとつといえます。

 この実現には、組織も人材も従来とは異なる形態やスキル、資質が求められることになります。

──具体的には。

鈴木 組織は、日本型のピラミッド構造からフラット型へ、人材はデジタルを理解し、かつ業務知識が豊富でデザイン思考ができる人材を確保、あるいは育てる必要があります。

 フラット型組織は、変化に強いという特徴があります。日本流の上意下達を大前提としたピラミッド型では、今の消費者の動きにはついていけません。人材についてはもっと深刻で、日本はIT技術者がベンダーやSIに集中しており、彼らが業務を理解しないまま開発を進めています。また、そのIT技術者もスキルに依存する傾向が強く、職人にはなれても棟梁になれないケースの方が多い。従って、プロジェクトを推進する力やリーダーシップを持つ業務に精通した人材──これをプロデューサー人材と呼びます──が、ITを学ぶという壮大な絵を描くことが必要だと思います。

(聞き手・矢島 竜児)
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