ベストプラクティスに学ぶ
「炎上/クレーム対策」
Part.1 <現状と課題>
“組織対応”の原則とルールの要諦
現場に必要な「放棄する権限」
悪質クレーマーに関する報道が後を絶たない。とくに店舗スタッフに対する理不尽な要求が目立つが、コールセンターのオペレータも同様の事態にさらされている。“こじらせる”大きな原因は、迅速な解決を図りたいがゆえの「あいまいな判断基準やルール」で、それはときに顧客をクレーマーに変える。センターマネジメントが徹しなければいけない「組織対応」のための問題点を検証する。
コールセンターにつきものの「クレーム対策」。昨今は「悪質クレーマーが増えている」とされる傾向が強く、ネット上で“炎上”し、企業価値を損ねるケースすらある。また、クレーム対応によるストレスがオペレータの離職、あるいは「職場としての人気のなさ」に直結しており、人手不足の折、まさに組織の存続を左右しかねないマネジメント課題だ。
炎上対策、離職予防のいずれの観点でも必要なのが、「組織対応」であり、オペレータ個人のスキルに依存する体制は厳禁といってもよい。識者の見解で組織対応のポイントを検証する。
図 クレーマーの分類例
※画像をクリックして拡大できます
Part.2 <ケーススタディ>
顧客をクレーマーにしない対応のコツ
炎上を未然に防いだ“4つの共通点”
Part.2では、実際に発生し“こじれる前”に防いだ3社の事例をまとめる。いずれも、対応を一歩間違うと炎上しかねない事例だった。共通点は、役割分担、事実確認と伝達の徹底、ルールに基づいた対応という、「組織対応」の徹底だ。一次対応のオペレータに頑張らせるのではなく、迅速に二次対応、他部署連携を実践できたことが、結果的には、“最速”と思われる解決に導いている。
CASE STUDY 1:スターフェスティバル
要諦はセンター/配送/提携先の連携プレーと「真摯な謝罪」
オフィス向けにお弁当のケータリング事業を展開しているスターフェスティバル。「名店の味」をオフィスにいながら楽しめるとあって、会議やセミナーなどで活用する企業が多い。しかし、それだけに「時間通り届かない」事態は重篤なクレームを招く。
ある冬の日、首都圏を襲った大雪の影響で交通網が大混乱。宅配を担うドライバーは当初、「時間通りで大丈夫」と判断したものの、時間が経つにつれて想定以上の渋滞で、「重要な会議用の弁当」が、大幅に配達時間をオーバーしてしまった。顧客対応を担うカスタマーサポート部門の対応を聞いた。
CASE STUDY 2:オルビス
「毅然とした対応」「寄り添う対応」を役割分担
化粧品トラブルは、ときにその企業の経営危機を招くこともある。しかし、その原因として意外と多いのは顧客の「利用法」だ。
「肌の黒ズミと腫れは、1年前から愛用しているスキンケア商品が原因」と主張する顧客の対応に際し、オルビスは、症状と成分の因果関係を徹底的に調べると同時に、「顧客に寄り添う姿勢」と「事実を毅然として伝える」ことを役割分担で実践、重篤なクレーム化を防止した。
CASE STUDY 3:ライフネット生命保険
信頼を回復する“マニュアル対応”
生命保険の加入には、例外なく過去数年分の健康に関する告知が必要だ。しかし、この「数年」の年数は会社や商品によって異なることもある。
ライフネット生命保険の場合、それは原則として「過去5年間」。しかし、この顧客は「3年」と勘違いして告知。いったんは契約したものの、不安に駆られてコールセンターに電話をかけてきた。
結果、契約はやり直しに。加入できなくなると不安を感じた顧客に対し、二次対応で見事にリカバリーしたプロセスを聞いた。
2024年01月31日 18時11分 公開
2018年04月20日 00時00分 更新
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