2017年12月号 <特集>

特集扉

25のチェックリストで測る
「オムニチャネル」実践度診断

Part.1 <実践度チェック>

「ツギハギ型運営」を脱する
“顧客体験重視型”の業務設計

電話は顧客にとって「最後の手段」であり、ファースト・チョイスのチャネルではない。顧客体験を重視するならば、最後の手段に至らないうちに、迅速な解決を提供することが企業の至上命題となる。すべての体験を最適化する「オムニチャネル対応」のための業務設計ポイントと、事例各社の取り組み、識者の見解に基づき作成した「オムニチャネル実践度チェックリスト」について解説する。

 電話、メール、チャット、メッセンジャー、そして店頭。消費者は、すべてのチャネルを好きなときに好きなように使い分ける。一方で、企業の顧客接点は、依然としてチャネルごとに担当者/部署が分かれ、情報共有も完全にはできていない(図1)。

 「オムニチャネル」とは、顧客情報や商品情報(在庫など含む)をシームレスに全チャネルで共有できる状態を指す言葉だ。消費者の行動が多様化する以上、この実践度を把握し、“次の一手”を探ることは顧客接点であるコールセンターのマネジメントの責務といえる。

 本特集では、事例の取材や、識者の協力のもと、「オムニチャネル実践度チェックリスト」を作成した。ビジョンの共有からチャネル活用度、情報の統合管理、顧客を理解するための取り組み度、評価指標、人材育成、コールセンター以外のチャネル活用など、25項目を設定している。

図1 オムニチャネル化への現状と課題

図1 オムニチャネル化への現状と課題

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Part.2 <ケーススタディ>

電話・メール・チャット・対面──
“同じ心地よさ”でロイヤルティを向上

オムニチャネルは、個々のチャネルの最適化ではなく全体設計が重要だ。ECサイトにも注力するファッションブランドのナノ・ユニバース、BtoBでありながら多様なチャネルを駆使して“ファン作り”を図るサイボウズ。2社の事例からカスタマーサービスをオムニチャネル化するメリットやポイントを検証する。

CASE STUDY 1:ナノ・ユニバース

チャットで店員同様の接客
店舗・ECの“両使い”を増やす!

 ファッションブランド、ナノ・ユニバースは、ECサイトでも店頭と同様の“接客”を目指し、店舗とECサイト、どちらの顧客体験も高めることで、店舗とECサイトの両方を使う“ロイヤルカスタマー”の醸成を図っている。

 ECサイトの顧客接点は、電話、メール、チャットで、チャット窓口では主にファッションに関する相談を受け付ける。経営企画本部WEB戦略部長の越智将平氏は、「売ること自体よりも心地よくお買い物を楽しんでいただくことが目的」と話し、元アパレル販売の経験者であるオペレータに運用を任せている。

図2 チャット窓口

図2 チャット窓口

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CASE STUDY 2:サイボウズ

メールも電話も同じオペレータが対応
チャネルもスキルも“マルチ”を徹底

 「クラウドビジネスが主力になりつつあるなか、カスタマーサポートの役割がエンゲージメント構築にシフト、昨年から『ファン作り』というミッションを掲げています」(執行役員兼カスタマー本部長の関根紀子氏)

 さまざまな部署の力関係が作用しやすいBtoBにおけるファン作りは、BtoCよりも難易度が高いミッションだ。同社は、従来の主力であるメール対応に加え電話も強化。さらにチャット対応も開始し、ソフトウエア・ビジネスには珍しい「対面相談窓口」も設けている。

図3 「ファン作り」のための2つのアプローチ

図3 「ファン作り」のための2つのアプローチ

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2024年01月31日 18時11分 公開

2017年11月20日 00時00分 更新

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