SVが放課後に読むハナシ第3回



   
  応対品質の評価や指導は、SVの大切な仕事の一つです。

 たとえ、QAやQCチームを別途設置しているとしても、現場をみるSVにとって切り離せない業務です。

  外部講師として、モニタリングやフィードバックを担当させていただくことが多いのですが、よく現場のSVさんたちから「このオペレータさんは優秀で、なにもフィードバックすることがなく、正直なところ、困ってしまいます。だから、先生のフィードバックを楽しみにしています」と言われることがあります。

 私も、SVを担当していた頃、「何も言えないなあ」と思うオペレータさんがいました。

  モニタリングをしても、特に問題がない。

 むしろ、お手本にしたいくらい、というコールを展開するスーパーオペレータ。

  それでも毎月、フィードバックの機会は巡ってきます。

 よく、前月の面談スケジュールを見ては、「何も指導すべきことがない。どうしよう……」とため息をついていました。

 結局、面談の時間をあまり有用なものにできず、今考えても、そのオペレータさんには申し訳ないことをしたと思うばかりです。

  当時の私に不足していたのは、自らが学ぶ気持ちだったと思います。

 そのオペレータの対応品質は、現段階では満足いく結果だったかもしれませんが、会社全体や業界、競合と視野を広めればもっと違う見方ができたはずです。

 当時の私には、そうした見かたができなかったことに加え、不思議なことに上司にも相談していませんでした。

 だから、結果として何も言えなかったのです。

  「このオペレータは自分よりもすごいのに、それを上回れない自分がフィードバックをするなんて……」――そんな気持ちが、思考を狭めてしまっていたのかもしれません。

  しかし、それは悪循環です。

 もし、当時の私に、今の私がアドバイス出来るのなら、こう言います。

  「まず自らが学ぶことが大切。SVであるあなたはオペレータよりも多くの情報に触れ、機会に接している。だから実は業務を実施しているだけでもSVとしてのスキルは向上している。まずはそのことに自信を持つ。でもそれに甘んじないで、そこから得た知識を消化して、さらに自らが学んで、オペレータさんに伝えなさい」  

 “立場”は、人を成長させるといいます。

 しかし、それだけでは足りません。

  フィードバックや面談がマンネリ化しているのなら、それは自分自身のせいです。

 だからこそ、迷ったときには、上司にも相談してみましょう。

 視点が変わり、突破口が見つかるかもしれません。


(コンピューターテレフォニー2013年6月号掲載)

第4回はこちら



2024年01月31日 18時11分 公開

2013年08月21日 15時50分 更新

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