NTTドコモビジネス、『docomo business ANCAR』にAIエージェントとマーケティング機能を追加

NTTドコモビジネス(東京都千代田区、小島克重代表取締役社長)は、AIと通信を融合したコミュニケーションサービス『docomo business ANCAR(ドコモビジネスアンカー、以下ANCAR)』の成長戦略を発表。AIエージェントによる顧客応対と運用の自動化、顧客接点データを活用したマーケティング支援の2つの新機能を軸に、コンタクトセンターをはじめとする企業の顧客接点の高度化を支援する方針を示した。

ANCARは、同社がフリーダイヤルやIP電話といった音声サービス、これらを支える通信キャリア網を保有する強みを生かしたサービスで、既存の音声環境にAI機能を追加できる。これまで、AIによる電話の振り分けや自動応答、通話録音、応対データの可視化・分析などの機能をSaaS形式で提供。執行役員 コミュニケーション&アプリケーションサービス部長の高橋聡子氏によると、「コンタクトセンターや店舗、営業所などへの展開を図っており、2026年8月末時点では一般企業から自治体まで約500件の引き合いがあります」という。

 

執行役員 アプリケーション&コミュニケーションサービス部長の高橋聡子氏
執行役員 コミュニケーション&アプリケーションサービス部長の高橋聡子氏

 

『docomo business ANCAR』の提供ラインナップ
『docomo business ANCAR』の提供ラインナップ

 

今回、新たに追加するのは、顧客応対から運用までをAIが担う『docomo business ANCAR Agent(以下、ANCAR Agent)』と、顧客接点データを企業の事業成長に活用する『docomo business ANCAR Marketing(以下、ANCAR Marketing)』だ。

ANCAR Agentは、AIが顧客の発話内容から用件を理解し、問い合わせへの回答に加え、外部システムと連携した予約や注文、各種手配などの手続きまで実行する。AIでは対応が難しい用件は、必要な情報とともに有人窓口へ引き継ぐ。2026年度内の提供を予定している。
 

『docomo business ANCAR Agent』の概要
『docomo business ANCAR Agent』の概要

特徴は、通信インフラを含めた運用マネジメントの自動化も対象とする点だ。通話内容や応対履歴に加えて、着信数や回線の利用状況などもAIが分析。問い合わせの増減に応じたコールフローの変更や回線・手順の制御、FAQの生成・更新などを自律的に実行する。高橋氏は、「一般的なAIが応対の高度化を担うのに対して、私たちは通信インフラそのものを保有しています。これを生かし、回線を含んだ顧客接点の運用まで高度化することを支援したい」と強調する。問い合わせ急増時の臨時窓口の立ち上げや、需要に応じた対応能力の増減などにも活用する考えだ。

 

『docomo business ANCAR Agent』による運用の高度化支援
『docomo business ANCAR Agent』による運用の高度化支援

 

ANCAR Marketingは、音声・応対履歴・コールデータと、企業が保有する顧客属性や購買履歴、Web上の行動履歴などをAIで統合分析する。顧客の関心や課題、購買意向などを把握し、優良顧客の抽出やアプローチの優先順位付けを支援。さらに、AIとの対話を通じて分析結果を深掘りし、訴求内容やアプローチ方法、キャンペーンなどのマーケティング施策の立案につなげる。コンタクトセンターなどに蓄積された顧客の声を営業・マーケティング部門と共有することで、売上拡大や新たな商機の創出が可能という。2026年12月に提供を開始する予定。
 

『docomo business ANCAR Marketing』の概要
『docomo business ANCAR Marketing』の概要

 

自社を最初の利用者とする「カスタマーゼロ」の取り組みも進める。主要コンタクトセンター9拠点にANCARを順次導入していき、実運用で得た知見を機能改善に反映する。すでに自社の総合窓口では、顧客の発話内容に基づくAI振り分けを導入し、窓口への接続時間を約30%短縮したという。今後はAIエージェントによる手続きの自動化や、応対データを活用したマーケティング施策の検証にも取り組む。

同社は2030年度までに、ANCAR Agent導入企業の顧客窓口における入電の80%をAIが最初に応対する状態を目指す。また、ANCAR自体の収益に、関連する音声サービスの収益を加え、2030年度に600億円の事業収益を目標に掲げた。高橋氏は、「その先には企業側だけでなくお客様の側にもAIエージェントが存在し、AI同士がやり取りしながら問い合わせや提案、契約手続きなどを進めるA2A時代が到来すると考えています。そうした時代においても安心・安全につながるコミュニケーション環境を支えてまいります」と展望した。
 

中長期のロードマップ
中長期のロードマップ


 

2026年10月30日 12時00分 公開

2026年10月30日 12時00分 更新

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