市界良好 第175回

2026年11月号 <市界良好>

秋山紀郎

コラム

第175回

リユース市場

 以前、古い書籍を店舗に売りに行ったことがあるが、あまりに少ない提示額に驚いた。既に売る気は失せていたが、買取額8%アップのクーポンを出し忘れていたことを思い出し提示したところ、「査定前に提示いただかなければ有効になりません」と断られ、さらにがっかりした。もしクーポンを事前に提示していたら、査定額が8%少なくなったのかな、と私は疑っている。

 最近は買取業者のテレビCMが目にとまるし、チラシも毎日のように入ってくる。出張費、査定料、手数料なども無料とか、自宅にいながら最短即日でまとめて売却可能、高価買取などアピールが激しい。それに後押しされるように、自宅に眠る衣類を査定してもらった。案の定、あまり高い金額にはならない。他にネクタイピンやカフスなど使わなくなった貴金属はありませんか? と尋ねられた。たしか家に眠っている貴金属がいくつかある。それをきっかけに、いくつかの店舗で査定をしていただいた。

 自宅での査定、臨時店舗、常設店にも回ってみた。必ず、「以前に、こちらの貴金属をどこかで査定してもらったことはありますか?」と聞かれる。どこで査定してもさほど変わらないと思っていたから、最初は不思議に感じていたが、店舗によって金額がずいぶん異なることが分かった。一つ勘違いしていたことがある。買取業者は安心してご利用いただけますと言って古物営業許可証を示していたと思う。この許可証があるということは、例えば、金の実勢価格を反映するなどしっかりとした査定をしてもらえるものだと感じていたが、実は違う。古物営業許可証は、盗品の流通防止や早期発見を目的としたもので、誰から何を買ったかを管理するなどが古物商に義務付けられており、警察署に申請して公安委員会が許可するものだ。そのため、買取を認めると、本人確認書類の提示が求められる。許可証は、査定方法や買取金額にはまったく関係ない。また、常設店でない場合、査定担当者本人が会社に電話をしてオペレータが出たあと、私に代わる手順がある。そして、きちんと代金を受け取ったかなどの確認がある。このプロセスを経ると一般的にはクリーンなイメージになる。担当者が個人で買取の商売をしていないことの確認のためだと思うが、電話の相手は誰でも務まるので、あまり意味はないと私は感じる。

 貴金属は、それだけで価値があるのは分かるが、買った古着を買取業者はどうするのか尋ねてみた。やはりまとめて海外に船便で送り、販売するようである。日本の中古品は質が良いと言われている。しかし、行き場のない古着も倉庫にはたくさんあるそうで、それでも買い取りに積極的なのは、プロモーションである。つまり、店舗を知ってもらって、本命である貴金属の買取をしたいためであろう。彼らにとって、買取は仕入れだから、買取しなければ、売り上げにつながらないのである。

 最近の物価高や節約志向の影響で、中古品は合理的な選択肢になっている。環境意識の高まりもあり、「捨てるより、次に使ってくれる人へ」という考えも広がっている。どこまでリユース市場が伸びるのかは、買取業者の健全性が前提にある。

PROFILE
秋山紀郎(あきやま・としお)
CXMコンサルティング 代表取締役社長
顧客中心主義経営の実践を支援するコンサルティング会社の代表。コンタクトセンターの領域でも、戦略、組織、IT、業務、教育など幅広い範囲でコンサルティングサービス及びソリューションを提供している。
www.cxm.co.jp

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会員限定2026年10月20日 00時00分 公開

2026年10月20日 00時00分 更新

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