「コールセンター大好き人間」のつくり方 第5回

2026年7月号 <「コールセンター大好き人間」のつくり方 ──人と組織が自然に強くなるマネジメント術>

池田浩一

実践編

第5回

ストレスに負けない心と体をつくる!
安定した対応を支えるコンディショニング術

電話対応を終えた後、思った以上に疲れていると感じたことはありませんか。コールセンターで働く方が向き合っているのは、お客さまの声だけではありません。見えないストレスや緊張を感じながら、自身の感情をコントロールしています。こうした感情労働を続けていくためには、毎日のコンディショニングが欠かせません。今回は、心身を整えるための土台づくりについて考えます。

PROFILE
ブランニューデイ 代表取締役
池田浩一
コールセンター専門のコンサルタントとして、350社以上のセンターの立ち上げや業務改善を支援。コールセンター従事者のためのeラーニングサービス「BIZTEL shouin」、無料ビジネススクール「BIZTEL大学」の講師としても活躍する。

 コールセンターの仕事は、お客さまの感情に寄り添いながら、自分の感情もコントロールしなければなりません。しかも、相手の話を整理し、対処を考えながら、正確に事務処理することも求められます。この状態を、私は「知的感情労働」と呼んでいます。毎日、知的感情労働を安定してこなすためには、自身の心を整えておくことが不可欠です。

 では、心を整えるためには何が必要なのか。それはベストな体調を常に保つことです。「今日は朝から胃が痛いな」と思っていたら、笑顔で電話応対するのも難しいですよね。

 今回の記事では、数多くのセンターの皆さんとお仕事をともにしてきた経験も踏まえ、とくに有効な心身を整える方法を紹介していきます。日々安定した対応をするためにも、しっかりケアすることを心がけましょう。

図 「心と体を整える」5つの習慣
図 「心と体を整える」5つの習慣

体を整える習慣が
感情を整える土台になる

 まず、体調管理で意識してほしいのが、腸内環境を整える「腸活」です。腸は「第二の脳」とも呼ばれ、脳と密接に関係しています。セロトニンなどの分泌に関わっており、心の安定にもつながるといわれています。

 発酵食品や食物繊維など、腸に良いものを意識して摂りましょう。間食は添加物の多いお菓子は避け、ドライフルーツやナッツなど、自然なものを選ぶと良いです。完璧にやる必要はありません。体に良いものを選ぼうと意識するだけでも、腸活には効果があります。ぜひ毎日の食生活を見直してください。

 それから、水分補給も大切です。水分が少ないと、お通じが悪くなり、腸内環境に悪影響を与えます。水分を取るときは、内臓に負担がかかる冷たいものは避け、なるべく温かいものを飲むようにします。これから気温は上がりますが、空調が効いているセンター内は、思っている以上に体が冷えます。夏でも白湯やぬるめのお茶がおすすめです。

 体調管理でもう一つ大切なのが、体を動かすことです。運動には、気分を前向きにする働きがあることが分かっています。

 なかでも取り入れやすいのが筋トレ。とりわけ、太ももの筋肉を鍛えるのが効果的です。私は「太ももに元気は宿る」と考えています。というのも、太ももの筋肉は体積が大きく、全身の筋肉の中でも大きな割合を占めているからです。

 太もものトレーニングには、日常の中でしっかり体を動かすことが大切です。電車を一駅手前で降りて歩く距離を伸ばしたり、昼休みに階段を使ったりするだけでも十分効果があります。ただし、ゆっくり歩くのではなく、少し疲れるくらいの運動強度を意識しましょう。休日など時間があるときは、ぜひ積極的に外に出てウォーキングを楽しんでください。歩いていると自然と思考が整理され、頭の中にたまっていたモヤモヤもスッキリします。

 コールセンターの仕事は、座っている時間が長くなりがちです。意識して体を動かさないと、心も沈みやすくなります。ぜひ、運動を習慣化してみてください。

 また、これは取り入れているコールセンターもありますが、「笑顔」の練習をすることも大切です。笑顔をつくることで自然と気分が整い、前向きな気持ちで電話対応がしやすくなります。

脳のリフレッシュが
ストレスに強い人をつくる

 体調管理と同じく、ぜひ実践してもらいたいのが脳のリフレッシュです。ずっと仕事のことばかり考えているとストレスはどんどん溜まっていきます。休日は仕事のことは完全に忘れ、普段と違う体験をして脳を活性化させましょう。

 一番のお勧めは、スマートフォンを持たない小旅行です。スマホを見ないで新しい町を歩いていると、「どんなお店がある?」「どこで食事をしたらいい?」と脳が動き始めます。旅行が難しければ、着たことのない色の服を着る、ウォーキングのコースを変えてみるといった小さな変化でもOKです。ルーティンから離れることが大切です。

 習いごとを始めるのも良いでしょう。習字や華道など、新しい体験を通して自分の成長が感じられると、心に余裕が生まれます。

SV・管理者のセルフケアも重要
センター全体でストレス対策を

 SVや管理者の皆さんには、ご自身のケアに加え、組織全体のストレスマネジメントをしなくてはならないなど、オペレータさんとはまた異なる大変さがあります。

 立場が上がるほど頼れる人は少なくなりますが、一人で抱え込まず、周囲に相談することが大切です。先輩から経験談を聞いたり、知恵を借りて、負担を軽減させましょう。そうして知識を増やせば、オペレータの指導やケアにもより効果的に取り組めます。

 また、コールセンターにおけるストレスマネジメントについて深く学びたい場合は、eラーニングで学習するのも有効です。例えば、『BIZTEL shouin』というサービスでは、オペレータが抱えやすいストレスの原因・対策や、カスハラを受けた際の精神的ダメージの回避法、相手のやる気を引き出す指導の仕方などについても紹介しています。ぜひ、参考にしてください。

 コールセンターの業務に熱中するにも、心と体があってこそ。質の高いプロの仕事を続けるために、コンディションを整える習慣づくりに取り組んでみましょう。

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会員限定2026年06月20日 00時00分 公開

2026年06月20日 00時00分 更新

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