「コールセンター大好き人間」のつくり方 第4回

2026年6月号 <「コールセンター大好き人間」のつくり方 ──人と組織が自然に強くなるマネジメント術>

池田浩一

実践編

第4回

高齢者対応が得意になる!
苦手を克服する方法と5つの実践スキル

BtoCの窓口を中心に、高齢のお客さまからの電話を受ける機会が増えてきています。スムーズな意思疎通ができず、中には上手に応対できないオペレータもいるでしょう。しかし、「人間の老い」を理解し、それに合わせた案内の仕方を身につけることで、ぐっと改善されます。今回は、高齢者対応への苦手意識を解消し、コールセンターの仕事をもっと好きになれる方法についてお話しします。

PROFILE
ブランニューデイ 代表取締役
池田浩一
コールセンター専門のコンサルタントとして、350社以上のセンターの立ち上げや業務改善を支援。コールセンター従事者のためのeラーニングサービス「BIZTEL shouin」、無料ビジネススクール「BIZTEL大学」の講師としても活躍する。

 ここ10年で、コールセンターに電話をかけてくる年齢層は大きく変わりました。検索スキルの高い若年層は、よほどのことがない限り電話で問い合わせをしない傾向にあります。そのため、BtoCのセンターでは、問い合わせの多くが高齢者からのものになっています。

 コールセンターで長く活躍していくうえで、高齢者対応のスキルは重要性が増していくことでしょう。とはいえ、オペレータの皆さんの中には苦手意識を持っている人も少なくありません。まずは、どのような点に難しさがあるのか整理してみましょう。

1.通話が長くなる:同じ話を繰り返す、脱線話が多いなど、話が長くなるケースが多々見られます。

2.会話した内容を忘れる:年齢を重ねると記憶力が低下し、話していた内容を忘れてしまうことがあります。同じ話を何度も繰り返してしまう要因にもなっています。

3.反応が読みづらい:レスポンスが鈍くなったり、曖昧な反応になってしまうことがあり、こちらの説明を理解いただけたか判断が難しい場合があります。

4.加齢性の難聴:とくに「か・さ・た・ぱ」の行の音が聴き取りにくくなります。

5.厳しい口調・言葉づかい:感情のコントロールが難しくなり、突然強い口調になってしまうことがあります。さらに、相手の受け取り方を考える余裕が少なくなり、結果として厳しい言葉や要望につながることもあります。

 この他にもありますが、代表的なものを一部ご紹介しました。慣れていないオペレータからすれば、戸惑うのも無理はありません。

高齢者対応への経験不足は
知識でカバーする

 幼少期に祖父母と一緒に暮らしていたり、頻繁に会っていた人は、特別な指導を受けていなくても高齢者への接し方が上手なことが多いです。難しいこととも思わず、家族のように対応することができます。しかし、家庭のかたちが変化した現代では、子どもの頃に祖父母と接する機会が少なく、高齢者との関わりに慣れていないという人が増えてきました。

 この経験の差は、ロールプレイをしても埋めることはできません。高齢者になりきることは難しく、思ったような効果は出しづらいでしょう。高齢者対応の難しさは、こうした点にもあります。

 そこで重要になってくるのが、「知識を身につけて、経験をカバーすること」です。高齢者の特性や適切な案内方法について知り、実際に対応する中で理解を深めていきます。高齢者との電話で起きるケースを把握しておくことで心構えができるので、対応中のストレスやダメージを軽減することもできるでしょう。

 知識の習得にあたっては、社内で座談会を開き、みんなで高齢者対応について考えたり、得意な人から話を聞くのが良いと思います。

 また、社内でこうした会や研修をする時間が取れない場合は、コールセンター専用のeラーニングを使ってみるのも手です。例えば『BIZTEL shouin』というサービスでは、高齢者と電話をする際の注意点から、聴き取りやすい声の高さや話すスピード、理解度が上がるように説明するコツ、会話が長引いた際の対処法、寄り添った言葉づかいなど、体系的に学ぶことができます。高齢者対応以外にも、苦情やカスハラ対応といったコールセンター業務に必要な研修が受講できるのでオススメです。

 高齢者の傾向は、時代とともに変化していきます。最近ではスマートフォンやiPadなどのデジタル機器を使いこなす方もおられ、これまでとは違った難しさを感じる場面も出てくるでしょう。私たちの高齢者に関する知識や認識も、日々アップデートし続ける必要があります。

高齢者対応に必要な
5つのスキル

 最後に、高齢者対応が得意になるためのポイントを5つ紹介したいと思います。

①「か行」や「さ行」など、高齢者が聞き取りにくい言葉は、口を大きく開け、滑舌良く発声します。

②高齢者との通話は長くなりがちなので、話を受け身で聞くのではなく、論点を整理しながら、こちらからも質問して会話の主導権を握るようにします。

③相槌・復唱を多めに入れ、傾聴姿勢をとります。しっかり聞いていることを伝え、安心感を与えます。

④簡潔・シンプルに伝えることも大切です。覚えやすいように要点を整理して話します。

⑤必要に応じて、メモを取ってもらうようにしましょう。お客さまの理解や記憶の補助になるだけでなく、後になってトラブルが起きた際、メモが残っていることでオペレータの案内に問題がなかったことがわかります。ご家族にも「しっかり対応してくれたのに、うちのおじいちゃんがごめんなさいね」と納得していただけます。

図 高齢者対応が得意になる5つの実践スキル
図 高齢者対応が得意になる5つの実践スキル

 高齢者の電話応対は、通常よりも時間がかかることが多く、予想外の言動や要望に戸惑ってしまうこともあるでしょう。ただ、忘れてはならないのは、私もあなたも、いずれは高齢者になるということです。そんな想像も働かせながら、長く人生を歩んでこられたことへの敬意を持って応対したいですね。

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会員限定2026年05月20日 00時00分 公開

2026年05月20日 00時00分 更新

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