コラム
第171回
Single Point of Contact(SPOC)は、顧客からの問い合わせを1つの窓口に集約する「単一窓口」を意味し、内容に応じて各対応部署へ連携する仕組みです。近年のサポート組織は、パートナー・ベンダー・社内各部門と相互のつながりが深まっています。こうした複雑な環境に対応するために、組織全体に適用するEnterprise Service Management(ESM)の一環としてSPOCを活用する動きが増加しています。社内ITヘルプデスクでは、SPOC化がされていないと、インシデント発生時に担当部署が調査・解決をしながら従業員からの電話・メール対応も並行して行うため本来の業務が中断されます。それが、SPOC化により問い合わせが窓口に集約されると、電話・メール対応から解放され、業務に集中できるようになります。
最近、普段使っているクレジットカードのランクアップの手続きをしました。手続きを進めるうちに、年会費が無料になったり、高いポイントの還元を受けるには、複数の条件を達成する必要があることが分かりました。その条件は、Webサイトに記載はされています。しかし、自分の理解が正しいのかが不安だったため、サポートセンターに電話をしました。ただ、銀行やカード会社などが複雑に連携することで、顧客にとってメリットになる仕組みになっていることから、関係する各企業のサポートセンターに電話をして確認する必要がありました。それぞれのサポートセンターでは、サポート担当者が提供する自社サービスの範囲内で、誠実に分かりやすく説明してくれて、理解ができ、満足もしました。しかし、カードについて説明しているWebサイトに、さまざまな企業のサービスを利用するメリットが一覧で掲載されているにもかかわらず、疑問が生じた際は、サポート窓口が別々であることにストレスを感じたことは言うまでもありません。
近年、顧客がサポートセンターに求めるサポート範囲は拡大傾向にあります。顧客は1つのサポートセンターに連絡をすれば、疑問や課題がすべて解消することを求めています。それを受けて企業側も、センターの立上げ当初は、範囲を限定してサポートをしていますが、それも次第に範囲を拡大していきます。しかし、その範囲が拡大するほど、担当者が1人で対応できる範囲を超えます。そのため、保留やエスカレーションが増えることで、顧客は納得のいく回答が得られるまでの時間が長くなり、ストレスも増大します。そこで各サポートセンターでは、ナレッジやAIによる支援を充実させるなどして、顧客のストレス軽減に努めています。問い合わせ内容が複雑になると、顧客は自身の解釈に間違えがないことを確認するために、コールセンターなどの有人サポートを受けたくなります。この際、初回の問い合わせですべての疑問が解消できると、顧客満足度やロイヤルティが上がります。顧客体験の向上が重要視される今こそ、部門の垣根を超えてワンストップで顧客をサポートする仕組みを作る時ではないでしょうか。
会員限定2026年06月20日 00時00分 公開
2026年06月20日 00時00分 更新
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