センター長! 大変です!! SVの事件簿 第9回

2026年6月号 <センター長! 大変です!! SVの事件簿>

寺下 薫

実践編

第9回

深夜のコンタクトセンターで一体何が?!
「休憩室から聞こえてきたオペレータの悲鳴」

コンタクトセンターを運営していると、セクシャルハラスメント(セクハラ)、パワーハラスメント(パワハラ)などの事件に遭遇することがあります。とくに男性SVによる女性オペレータへの好意から、セクハラ事件が発生するケースもあります。今回は、コンタクトセンターで起きたハラスメントに関する2つの事件について、現場から報告します。

PROFILE
クリエイトキャリア 代表取締役社長
寺下 薫
外資系企業を経て、ヤフーやソフトバンクで長年、人材育成に携わる。問題解決養成塾「SV研究会」を立ち上げ、若手のSVを育成。現在は独立して、コンサルティングや研修、講演、執筆などを中心に活動中。2024年6月に「スーパーバイザーの教科書」を出版。

 コンタクトセンターは数多くの人が働いている場所であるため、セクハラやパワハラなどもちょくちょく遭遇したりします。とくに男性SVの女性オペレータへの好意から発展するケースなども多々あり、マネージャーやセンター長の頭を悩ませます。

図 今月の教訓・その9
図 今月の教訓・その9

「冗談半分でやりました」

 ある日の深夜、事件が起きました。

 そのセンターは、24時間365日稼働していました。夜勤のスタッフは、電話が鳴り止む午後11時から午前2時までと、午前2時から5時までの各3時間を2交代制で仮眠を取ります。平穏な日については、電話も1時間に数本しかかかってこないため、仮眠を取れます。当然、オペレータだけでなく、SVも仮眠を取ります。SVが不在になるのは、午前2時から5時までの最も電話が鳴らない時間帯です。

 私が仕事で深夜の立ち合いをしていた時のことです。午後11時から午前2時に仮眠を取っていたオペレータ陣が戻ってきました。すると今度は、午前2時からのオペレータとSVが離席して、仮眠を取りにいきます。

 仮眠から戻ってきたオペレータのHさん(20代女性、独身)が、PCにログインして間もなく、離席をして私のところにやってきました。マネージャーである私に相談があると言うのです。「えっ、こんな深夜に相談?」と思いましたが、困っている様子でしたのでHさんの相談に乗ることにしました。

 Hさんは困った顔で、私にこんなことを言ったのです。「今さっき仮眠から帰ってきて、ログインしようとPCを起動したら、デスクトップの壁紙がSVのSさんの顔写真のどアップに変えられていて、怖かった」。

 早速、Hさんの席に行って確認すると、確かにSVのSの顔のどアップが壁紙になっています。しかも、顔から吹き出しが出ていて、「あなたをいつも見ています」と書いてあるのです。そうなんです。SVのS(30代男性)は、Hさんに好意を持っていました。

 男性SVが女性オペレータに好意を持つことはセンターではよくあることです。相手のオペレータも好意を持っていれば問題ないですが、そうでない場合は、迷惑や嫌がらせになってしまいます。Hさんは、Sさんはいい人だが、そういった対象には見られないということでしたので、私は仮眠から戻ってきたSを呼び出し、厳重に注意しました。

 Sは冗談半分でやったと言うのですが、Hさんが恐怖を覚えているし、夜勤は人数も少なく、一緒に働くのも嫌がっている以上、こうしたことはやめるべきときつく注意しました。SVがオペレータに好意を持つ時、何かしら事件が起きるため、マネージャーは日頃から観察しておく必要があります。

「セクハラじゃないですよね?」

 また、別の日の深夜にも事件が起きました。

 繁忙期に私が深夜まで残業していた時のことでした。繁忙期のため、夜勤のオペレータもいつもより多くいます。午後11時からの仮眠を取っていたオペレータが午前2時にセンターに戻ってきました。交代で、午前2時から仮眠を取るオペレータが「行ってきます」と言って、離席していきました。SVのU(40代男性)も「仮眠してきます! 何かあったらいつでも携帯に電話してね」とオペレータに言って、仮眠を取りにいきました。

 午前2時からの仮眠組がセンターを出て5分後くらいに、リフレッシュルームから「キャー!」という女性の悲鳴があがりました。不審者か、もしかして、虫でも出たのかなと思い、急いで、殺虫剤のスプレーを持って、リフレッシュルームに駆けつけると、そこには先ほど悲鳴をあげたオペレータのMさん(30代女性)と、パンツ一丁で立ち尽くしているSVのUがいました。

 私が「えっ、どうした?」と聞くと、オペレータのMさんは「これはセクハラです!」と言うのです。Uが「違うんです、違うんです」と焦った声で言います。もしかして事件なら警察に電話しないとと思っていると、Uはバツが悪そうにこんなことを言ったのです。「ワケを説明させてください。私は、いつも仮眠室で、パジャマに着替えています。スーツだと寝れないんです。でも、今日は、仮眠室がいっぱいで……仮眠室の隣のリフレッシュルームが誰もいなかったので、ここでパジャマに着替えようと服を脱いでいたところにMさんが休憩をするためにリフレッシュルームに入ってこられたんです」と言い訳をしてきます。

 私は「いや、仮眠室が混んでいるなら、時間をずらせばいいし、トイレで着替えたらよかったでしょ?」と言うと、Uは「パンツをはいていたので、セクハラじゃないですよね?」と意味の分からないことを言ってきます。その後、Uに服を着てもらい、私と個別の面談です。Uも自分のやってしまったことを反省していましたが、時すでに遅しです。

 翌朝には、「Uのパンツ一丁事件」は、センター全体にすぐ広まりました。さすがにUもこの現場では働き続けることは難しいと考えたのか、すぐ自主退職していきました。ハラスメント防止については、定期的にSVに対して啓発を行っておくことが必要です。

イラスト

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会員限定2026年05月20日 00時00分 公開

2026年05月20日 00時00分 更新

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