生成AI時代のコールセンターマネジメント基礎講座

2026年4月号 <特集>

特集

生成AI時代の コールセンター
マネジメント
基礎講座

Part.1 <ストラテジーのいまさら聞けない>

終焉を迎えたコスト削減モデル
いま求められるCX視点での「再設計」

いま、「顧客戦略」は再設計(リ・デザイン)が求められている。背景には3つの変化がある。人材不足の深刻化、データの価値向上、CX重視の加速だ。Part.1は、「今さら聞けない」基礎知識として、顧客戦略の観点からコールセンター運営を再整理する。カギとなるのは「効率化」から「価値創造」への舵切りだ。コールセンターは、顧客体験を設計し、企業成長に直結する戦略部門へと進化することが求められている。

 カスタマーサービスの現場は、いま大きな転換点を迎えている。

 インターネットとスマートフォンの普及で企業と顧客の接点はWebが主戦場となった。窓口はオムニチャネル化が進み、運用は複雑化している。

 顧客戦略とチャネル戦略は表裏一体だ。顧客層、商材、状況で最適なチャネルは変わる。ロイヤル顧客には専用窓口、デジタル志向層には自己解決導線強化など、顧客が求める価値や利用状況に応じて、チャネルと体験を最適化する必要がある。

 テクノロジーの進化によって、「人が丁寧に対応する」ことだけがロイヤルティ向上の手段ではなくなっていることも、チャネルの再設計を後押ししている。

 今後、コンタクトセンターは、データとAIを武器に、単に問い合わせに対応するだけではなく、「価値を創造する」組織へとリポジショニングしていくべきだ。

 AIの普及は、顧客行動の変化ももたらすだろう。顧客は企業にコンタクトをとる前にAIで情報収集・自己解決を試みたうえで問い合わせてくる。いわば「AIをまとった顧客」だ。問い合わせの前段階を想定せずに応対すれば、的外れなサービスを提供することになりかねない。これまでとは異次元のレベルで情報武装した顧客と相対しなければならない。対応するためには、最新かつ正確で豊富な情報をスピーディーに提供できるようデータを整備しておく必要がある。

 これらの変化を踏まえ、「顧客応対戦略」を立て直すべきだ。どのような顧客に対し、どのような応対を行うかを細かく定義し、手段と体制を再整備する必要がある(図1)。

図1 顧客応対戦略
図1 顧客応対戦略

Part.2 <マネジメントのいまさら聞けない>

「解決したかどうか」でCXを可視化
KPIと人材育成の見直しは喫緊の課題

労働集約型の組織であるコンタクトセンターでは、マネジメントの巧拙が品質や生産性を大きく左右する。近年はAI活用の進展により、品質管理や人材管理、ナレッジ管理の手法や役割も変化しつつある。電話応対だけに依存しない顧客接点の整備や、自己解決を促す仕組みづくりも重要なテーマだ。Part.2では、コンタクトセンター運営の基礎として押さえておきたいマネジメントの考え方と、その変化のポイントを整理する。

 コンタクトセンターのマネジメントの主な役割が、接続品質と応対品質の向上にあることに変わりはない。ただし、AIの台頭とともに、方法論は変化しつつある。

 採用難・定着率低下が続くなか、「ニーズに合わせて量を揃える」運営は持続可能ではなくなっている。コンタクトセンターは、「電話をつなげること」だけではなく、FAQやチャットボット、コミュニティなどを整備し、顧客がストレスなく自己解決できる環境を整えることの重要性が増している。これに伴い、KPIも応答率や対応時間だけではなく、「自己解決率」や「FAQサイトのアクセス数」などがCXを可視化するうえで重要になっている。

 品質管理についても、AI活用によって手段や考え方に変化がみられる。

 AI活用が進みオペレーションの一部が自動化すれば、オペレータの役割は変化せざるを得ない。ロイヤルティを高めLTVをあげるには、従来の画一的な対応では限界がある。AIの支援を受けてエンパワーすることで、柔軟性(パーソナライズ)を追求することが必要だ。オペレーションが変われば、品質管理の考え方も変わるだろう。少なくとも従来のような「復唱の有無」などをチェックするモニタリングでは目指す応対の実践度を測ることはできない。

 今後、顧客対応業務そのものが自動化していくことで、オペレータの役割は大きく変わる(図2)。AIが対応できない問い合わせに対応しつつ、それをAIが対応できるようAIへの指示(プロンプト)を行うことが求められていく。

 人材管理もアプローチが変わる。労働集約型からの脱却とともに、知識詰込み型の教育ではなく、1人ひとりが高付加価値業務を実践できるよう提案力や業務理解力、データ活用力などを育成していく必要がある。教育投資なくして戦略転換は実現しない。

図2 AI化で変わるオペレータの役割
図2 AI化で変わるオペレータの役割

Part.3 <テクノロジーのいまさら聞けない>

SaaSは止まらない? AIに任せれば安心?
成果につながる運用とガバナンスの設計

センター運営を高度化するためのテクノロジーを導入したものの、成果を出し切れていないケースが目立つ。テクノロジーは導入しただけで成果が出るほど単純ではない。障害リスクや、情報漏えい・ハルシネーションを前提に運用とガバナンスを設計し、改善サイクルを回す必要がある。カギは、顧客像と現場実態を起点に、CRMの一元化と「判断資産」としてのナレッジを整え、AIを“加速装置”として使いこなす視点だ。

 コールセンターの業務は変革期を迎えている。音声基盤やCRMシステム、FAQシステムなどの主要システムのクラウドシフト、生成AIの活用による要約や品質評価など、センター運営を高度化するためのテクノロジーの選択肢は急速に増えた。一方で、導入・活用において想定した成果を出し切れていないケースも目立つ。背景には、テクノロジーそのものの優劣ではなく、「クラウド/AIの特性に合わせて、業務と運用を作り替える」視点の欠落がある。テクノロジー導入と活用において押さえるポイントを、CRM領域、生成AI活用に関する識者にヒアリングし、Q&A形式で整理した。

図3 ソリューション導入による業務とITの融合
図3 ソリューション導入による業務とITの融合
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2026年03月20日 00時00分 公開

2026年03月20日 00時00分 更新

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