メンタル不調者を戦力にする “リワーク支援”のススメ 第4回

2025年12月号 <メンタル不調者を戦力にする “リワーク支援”のススメ>

加藤 菜々香/川野克俊

実践編

第4回

医療・公共・企業・福祉が主導する
4つのリワーク支援施策の特徴と利点

メンタル不調者の職場復帰を後押しするリワーク支援。社会資源として利用できるリワークサービスは大きく4種類ある。具体的には、運営母体により、医療リワーク、職リハリワーク、職場リワーク、福祉リワークに分類できる。連載第4回では、各リワーク、それぞれのメリット/デメリットを整理し、当事者(自分)の状況にあったサービスを適切に選択するためのヒントを提示したい。

PROFILE
日本就労移行支援センター
(本社:赤坂、代表:高橋慶治)
加藤 菜々香(本社勤務:マネージャ)
復職を含む就労移行支援全般の管理・統括
川野克俊(本厚木駅前校勤務:支援員)
過去CC業界でCX推進。現在は就労支援員

 今回は、メンタル不調から休職を経て「リワーク(復職)」を選択する場合に、どのような支援サービスがあるのかにフォーカスし、それぞれの特徴を整理したい。どのサービスが良い・悪いではなく、当事者(自分)の今のフェーズに合ったサービスを選ぶことが極めて重要である。

 治療から社会復帰までを一貫して支える仕組みが整いつつある今こそ、リワークを「再出発の手段」として多くの方に知ってもらう機会になれば幸いである。

運営母体で異なる支援内容
特徴とメリット/デメリット

 リワークの支援サービスは多岐にわたる。実際には、主目的、運営母体、医療や就労のサポート、費用や利用期間などが異なるため、留意が必要だ。まずは、それぞれの内容を見ていきたい()。

図 社会資源としての4つのリワーク
図 社会資源としての4つのリワーク

医療リワーク

 精神科・心療内科などの医療機関が実施するリワークで、医療保険の範囲で行われる。医師、臨床心理士などが常駐しているため、症状に合わせたリハビリが受けられる。また、体調の変化や薬の調整などをすぐに相談できることがメリットである。医療保険が適用されるため、自己負担は数百円〜1000円程度であることもメリットといえる。

 一方で、「治療優先」のためリワークに向けた訓練などの支援が弱いことは否めない。また、企業との連携も弱いといえる。

職リハリワーク

 都道府県の地域障害者職業センターが行うリワークで、主治医が「復職に向けて準備性がある」と判断した人が対象となる。本人・会社・主治医の三者が支援計画に合意することが前提となる。

 プログラムは概ね3カ月程度で、内容は、認知行動療法の考え方を応用してストレス対処法や再発防止を身につける「病気やストレスと付き合いながら働くための知識」。職場の人間関係や報連相などをスムーズにできるようにする「コミュニケーションの習得」。決まった時間に起きて通所する習慣をつくり、安定した出勤を取り戻すことを目指す「生活リズムの構築」などである。

 費用がかからないので、安心して利用できるのはメリットといえる。(神奈川障害者職業センター所長 吉澤氏、次長 矢代氏、リワークカウンセラー 湯田氏に取材)

 利用にあたっては、医療との連携は密だが、医師などがおらず医療的サポートが限定的であることや利用期間が概ね3カ月に限られること、問い合わせから利用開始までに待機期間がある可能性があることについて留意しておくことが必要であろう。

職場リワーク

 企業が独自に行う職場復帰支援で、社内の産業医、保健師、人事、外部カウンセラーなどが連携し、休職者のリワークを会社主導で支援する。リワーク後の働き方・部署異動の調整などがスムーズにできることや、会社の実務に近いタスクをこなして現実に慣らしていくことができるのはメリットといえる。ただし、医療的支援は少なく、病状への理解にバラつきがあることは否めない。

 また、会社都合の判断になりがちで、本人のリワークペースではなく、会社が望むペースになってしまったり、会社によってはリワークの体制が整っていない場合があることにも留意が必要である。休職扱い中は給与や傷病手当などの調整が必要で、当事者の負担がそれなりにあるといえる。

福祉リワーク

 障害福祉サービスを活用し、精神・発達・身体・知的障害を持つ人が対象となるリワークである。医療的治療よりも、就労訓練や社会参加が主な目的となる。これまでの3つのリワークに比べ、リワーク特化ではなく、再就職/転職のサポートも行っていることがメリットといえる。費用は医療リワークと同じくらい(前年度の世帯所得により自己負担あり)で、利用開始(契約前)までの申請手続きや医療同行などサポートが手厚いことが特徴。また、利用期間が最大2年間と長く、時間をかけて取り組める。支援内容の幅が広く(生活リズム系、コミュニケーション、自己理解・心理、ビジネスマナー、資格取得など)、就職・復職後も「定着支援」による継続サポートが一定期間受けられるので安心である。

 医師がいるわけではないため、医療的なサポートが限定的であることは否めない。ただし、対象者と一緒に医療機関を訪れ、一緒に医師と対話をすることもあり、心強いともいえる。

 一方で、就労移行支援事業所ごとに質・専門性の差が大きい、復職より、転職を目指す形が多いことなどに留意が必要である。

 ここまで4つのリワーク支援の形を見てきたが、それぞれにメリット/デメリットが存在する。冒頭にもお伝えした通り、当事者(自分)の今の状態に照らし合わせ、適切なものを選んでもらいたい。

 次号最終回では、企業としてメンタル不調者をどのようにサポートできるのか、ひいてはより良い組織運営にどうつなげることができるのかを見ていきたい。

2025年11月20日 00時00分 公開

2025年11月20日 00時00分 更新

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