AfterCall~電話の後で 第162回

2025年10月号 <AfterCall〜電話の後で>

山田祐嗣

コラム

第162回

置き換えではなく“支え合い”へ
サポート担当者とAIの最適な関係

 従来、分からないことがあったときは、インターネットの検索サイトを利用していました。調べたいことを検索して、一覧表示された結果からリンク先を選択し、さらに各サイトを見て目的の回答を探す手間がありました。しかし、最近は生成AIのチャットを使う機会が増えています。

 先月、私は腹部に結石ができ、入院して手術を受けました。これまで、内科に入院したことはなく不安になりました。そこで診断結果を受けた後、病名を検索しました。しかし、検索で上位に来るサイトの説明は分かりづらく、いくつものサイトを見ました。医療機関のサイトはそれぞれで作りが異なり、症状や原因の書き方の難易度や内容の記載順も違い、なかなか理解できません。そこで、生成AIチャットに、「結石の症状や原因、主な治療方法、再発防止方法などを、信頼できる医療機関のWebサイトから抽出して箇条書きで教えて」と入力しました。すると、数十秒後にはさまざまな医療機関のWebサイトから情報を抽出し、箇条書きで分かりやすい説明が得られました。なおかつ、記載された情報には、情報を抽出した医療機関の名前も明記されていたので安心感も増しました。半年ほど前の生成AIは、「なんとなく正しそうな情報をくれるが、情報の出所が分からず誤表記も多いので信頼できない」との評価でした。しかし、バージョンアップするたびに信頼度が大幅に向上しています。病院の担当医との会話は時間が限られており、今までは何を聞いたら良いのかさえ分からず、後から「あれも聞いておけばよかった」と思うことが多かったです。また、病名による検索で、たまたまヒットしたサイトも表記が難しく、私が知りたい情報がどこに記載されているか見つけられないまま多くの時間を費やしていました。病状については、もちろん担当医の指示に従う必要がありますが、生成AIのおかげで、診察時に聞きたいことを要領よく確認でき、手術までの期間を不安なく過ごせました。

 昨年から私は、米国のトレーニングを生成AIを使って和訳しており、翻訳の精度が半年前と比べて格段に向上していると感じます。最新版は、単に文章を和訳するだけでなく専門用語の解説や活用事例、出典元まで教えてくれます。最終的には自分で文章を作りますが、作業の効率は大幅に向上しました。海外のサポートセンターの方々と話をしても、その多くが生成AIをサポート担当者の補完的な位置づけと考えており、サポート担当者の代替的な位置づけとは考えていません。医療現場と同様に、サポート現場でも顧客ごとに異なる内容の不安を解消できるのは、これからも有人対応になります。顧客が生成AIを活用することで、一問一答の問い合わせは減ることが予測されるものの、顧客ごとに異なる複雑な問い合わせ対応は、引き続き有人対応になります。より多くのサポート担当者がAIを有効活用し複雑な問い合わせに対応できるようになることで、より顧客満足度の高いサポートになるのです。

PROFILE
山田祐嗣
HDI国際認定資格取得者:HDIイベント、認定トレーニング、格付けベンチマーク、メンバーネットワーキング、実態調査などを通じてサポート業界に価値を提供し、サポートセンターのサービス品質向上および地位向上を目指し活動をしています。

2025年09月20日 00時00分 公開

2025年09月20日 00時00分 更新

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