旅行代理店業界

2025年9月号 <DATA FILE by HDI-Japan>

問い合わせ窓口格付け調査──旅行代理店業界

Web・有人窓口ともに課題が多い
昨年度の全業界平均と較べ低評価

旅行代理店業界の格付け調査は、Webサポートも有人窓口も総じて低評価。2024年度の全業界平均と比べても低い項目が多い。とくにWebサポートはセルフサービスコンテンツが見つけにくく、センターとの連携度も低い。有人窓口は、初回コンタクト解決率、対応時間、放棄率、顧客満足度、対応スキルなどに問題があり、1つの窓口で解決しないケースもあった。

 HDI-Japanは、2025年6月、旅行代理店業界の公開格付け調査を行った。

 今回は「海外旅行を検討する際の申込み前の問い合わせ」という前提で実施。調査にあたっては、専門審査員、一般審査員のべ75人が旅行代理店各社のWebページを確認し、また、それぞれの窓口に問い合わせた。そのうえで、Webサポート5項目を評価。さらに、問い合わせ窓口のパフォーマンス5項目、クオリティ5項目の評価を行っている。

セルフサービス選択肢が少なく
有効に機能しないケースがある

 Webサポートは、3ツ星3社、2ツ星6社という結果で、1ツ星、星なしは該当がなかった。旅行代理店業界は2024年全業界平均と比べて『複数の選択肢』以外のすべての項目が低い評価となっている。

 Webサポートで高評価のところは、セルフサービスコンテンツが見つけやすく使いやすく、顧客の声が旅行先選びの参考になり楽しく利用できる。

 一方、低評価のところは、分かりにくく見つけにくく、セルフサービス選択肢が少ない。FAQやチャットボットが定形的で情報を見つけられない。問い合わせ窓口の電話番号が分かりにくかったり、なかったりして、Webサポートとの窓口連携がみられない。また、オンライン相談が予約制で利用しづらいとの声もあった。

問い合わせ窓口の分散は
顧客満足度を低下させる

 問い合わせ対応は、3ツ星3社、2ツ星5社、1ツ星1社という結果で、星なしは該当がなかった。旅行代理店業界は2024年全業界平均と比べて『平均応答速度』以外のすべての項目が低い評価となっている。

 クオリティで高評価のところは、協力的かつ前向きな姿勢で、顧客ニーズに合った対応ができる。顧客に寄り添い、自信あるプロフェッショナルらしい対応ができる。

 一方、低評価のところは、問い合わせ窓口が分散して分かりにくく、メール回答が定形的で内容が不十分なところが多い。一問一答で聞いたことのみに答え、積極的な対応がなく物足りない。また、顧客への寄り添いが少なく、一緒に解決できないところもみられた。

 パフォーマンスで高評価のところは、チャネルが豊富でつながりやすい。適切な時間で初回コンタクトで問題が解決でき、丁寧かつ積極的な対応で満足度が高い。また、迅速かつ正確で満足度が高いと評価されたところもあった。

 一方、低評価のところは、複数窓口で回答を得るのに時間がかかり満足度が低い。顧客ニーズの掘り下げが少なく、顧客の期待を超えられない。また、メール返信が遅いところがみられた。

 旅行代理店業界の格付け調査は、Webサポートも問い合わせ窓口も、他業界平均に比べて低い傾向にある。コロナ禍を経て、旅行選びの要求レベルが上がり、それに十分に応えきれていない。ただし、一部企業では品質向上もみられる。

図1-2
図3-6

2025年08月20日 00時00分 公開

2025年08月20日 00時00分 更新

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