実践編
第13回
SVは、オペレータの朝礼や研修、SVミーティングなど、大勢の前で話す機会がたくさんあります。にもかかわらず、話し方については、SVは、基礎的な教育すら受けていないことが少なくありません。矛盾なく論理的に話すには、それなりのスキルが必要です。結論と理由をセットで話す、論理の飛躍や話の内容に漏れ・ダブりをなくすなどです。今回は、SVに必要なロジカルシンキング力について解説します。
コンタクトセンターにおいて、SVはオペレータの朝礼や研修、SVミーティングなど、大勢の前で話す機会がたくさんあります。にもかかわらず、話の組み立て方や話す順序などについて、SVは教えられていなかったりします。しかし、センター運営においては、筋の通った判断や説明を求められることが多く、SVにはロジカルシンキング力が必要になります。
さあ、早速、質問です。ロジカルシンキングとは何ですか? ズバリ答えられるでしょうか。
「ロジカルシンキングとは何ですか?」とSVに聞くと、SVは「えーっと、論理的思考です」と答えてきます。答えられないSVも結構います。論理的思考というのは、英語の直訳ですね。では、続けて質問です。「論理的思考とは、どういう意味ですか?」と突っ込んで聞くと、ほとんどのSVは答えられません。無理矢理、「そうですねぇ、論理的な思考のことです」と、答えになっていない答えを言ってきたりします。
ロジカルシンキングを定義するとすれば、矛盾のない理屈の通った思考方法のことをいいます。もっと簡単にいうと、相手に「?」と思われない考え方、伝え方のことです。あなたが話をした時に、相手の頭の中に「?」が生まれなければ、筋道が通った話ができているということです。反対に、相手が話に違和感を覚えてしまえば、それは筋道が通っていないということになります。
SVの誰もが、ロジカルに話をしたいと思っています。では、ロジカルに説明するというのはどういうことかを説明していきましょう。まずは、論理的思考の構造をきちんと理解しておく必要があります。論理的思考の「論理」とは、結論の「論」であり、理由の「理」から成り立っています。つまり、結論と理由をワンセットで話をすれば、論理的思考に一歩近づけることになります。
例えば、こんな感じです。
結論:チャットボットの導入プロジェクトは2週間延長するべきだ。
理由:現在、サービスレベルが低下しており、システムの検証も十分できていないからだ。
結論を先に話すようにして、次に理由を話すことを常に意識して話すことです。意識を変えるのは、なかなか大変なのですが、この意識を強く持ち続けると論理的思考ができるようになります。報告書を書く時、提案書を書く時、センター長と話をする時、メールを書く時など、常に意識して、実践し続けるのです。

では、結論と理由をワンセットにすれば、それだけでロジカルシンキングができているかといわれると、まだ不十分です。
先ほど、相手の頭の中に「?」が生まれなければ、筋道が通った話ができているということですと説明をしました。相手の頭の中に「?」が生まれる瞬間は2つあります。1つは、論理の飛躍がある時です。確かに、結論と理由の間にはそう思えるという関係があればいいのですが、ないケースがあります。例えば、同僚SVが「オペレータのAさんは昨日、2件のクレームを受けた。だから、Aさんは電話対応業務が向いていない」と発言したとします。さあ、この会話を聞いて、違和感を覚えることができるかどうかです。
違和感を覚えることができる人は、こう考えます。クレームを2件受けただけで、果たしてAさんが電話対応業務に向いてないと言い切れるのかと疑問に思うのです。では、この発言はどうでしょうか。「オペレータのAさんは、昨日2件のクレームを受けた。その後、通話記録を確認したところ、説明不足や不適切な言葉使いが複数回見られ、マニュアルから逸脱した対応をしており、研修後のフォローや指導をしても改善が見られなかった。だから、本人の特性や適性を踏まえても、この仕事に向いていない」。これだったらどうでしょうか。違和感を覚えることはないと思います。
次に相手の頭の中に「?」が生まれる瞬間の2つ目は、話の内容に漏れとダブりがある時です。例えば、こういう発言をセンター長がしたとします。「応対品質を上げるには、トークスクリプトさえ改善すれば可能である」。この発言を聞いた時に、漏れを感じることができるかです。
応対品質を上げるには、トークスクリプトの改善だけでなく、オペレータへの教育やSVのフィードバック力を上げるなど、他にもやれることはありますよね。トークスクリプトの改善だけに限定されてしまうと、頭に「?」が浮かんでしまうのです。
ダブりはどうでしょうか。朝礼でSVが「常に顧客の視点に立ちつつ、お客様の立場になって考え、お客様の気持ちに寄り添って対応してください」と言ったとします。結局、お客様の立場に立つことの重要性を伝えている訳ですが、同じようなことを言っています。こうなると、人は頭の中に「?」が発生する、つまり、「本当にそうかな?」と思ってしまいます。
論理の飛躍や、話の内容に漏れやダブりがあると、人は「そうかな?」と思ってしまって、その後の話は頭に入ってこないことになります。今日から、まずは、結論と理由をワンセットにして話すことからスタートしてみましょう。
2025年07月20日 00時00分 公開
2025年07月20日 00時00分 更新